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若者に大人気!朝井リョウさんの作品を定番から最新作まで

『桐島部活やめるってよ』や『何者』で知られる朝井リョウさんの作品を定番の作品から、最新作、エッセイまで惜しみなく紹介します。

朝井リョウ・作者情報

朝井リョウ・作者情報

1989(平成元)年、岐阜県生れ。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2011年『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞、2013年『何者』で直木賞、 2014年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞。ほかの著書に『もういちど生まれる』『スペードの3』『武道館』『世にも奇妙な君物語』『死にがいを求めて生きているの』などがある。
https://www.shinchosha.co.jp/writer/4436/

作風・楽しみ方

朝井リョウさんの代表作『桐島部活やめるってよ』や『何者』に象徴されるように、朝井リョウさんは、高校生や大学生の繊細な心情をリアルに描くことに定評のある作家さんです。その心情表現は、実際の大学生である筆者も驚くほどで、10~20代の読者が多いことも特徴です。また、学園モノの作品も多く、恋愛描写も多くあるため、明るく楽しく読むことのできる作品が多くなっています。

一方で、ただ若者の様子を描くだけでなく、最近話題となっている社会問題等を題材にした作品も多いため、読みごたえがあり、飽きさせない作者となっています。もう1つ特徴として、短編集や1話完結の作品が多いのですが、関係ないように見える話の登場人物同士が別の話でつながっている場合があり、それを踏まえてから読むと、物語がより楽しめます。

では、早速作品を紹介していきます。

『桐島部活やめるってよ』

桐島部活やめるってよ
題名桐島部活やめるってよ
発行所株式会社集英社
発行日2012年4月25日
ページ数245頁

ある高校のバレー部キャプテンだった桐島が突然部活をやめたらしい。この話は噂となって学校中に知れ渡った。それをきっかけに、身近なバレー部員から、桐島とは一見関係のなかった生徒にまで、段々と波紋が広がっていく。そんな脆い高校生の姿を描く青春ストーリー。

映画化もされた朝井リョウさんの代表作です。学園モノの作品で、高校生の儚く不安定な心情が描かれています。部活等真っただ中の高校生にこそおすすめしたい作品です。

  • ネタバレありの詳しいあらすじと感想はこちらの記事を参照ください。

『チア男子‼』の作品情報

チア男子‼
題名チア男子‼
発行所株式会社集英社
発行日2013年2月25日
ページ数486頁

柔道一家に生まれた晴希だったが、ケガを理由に柔道を辞めた。そんな時、幼馴染みの一馬からチアリーディングをやらないかと誘われる。女子のやるものという印象が強いチアリーディングに、最初は難色を示す晴希だったが、一馬の熱意に負け、チアリーディングを始めることを決意する。

チアリーディング経験のないメンバーたちが、苦戦しながらも団結し、全国大会優勝を目指して戦う青春小説。

『桐島部活やめるってよ』に引き続き、学生たちの姿を描いた作品です。女子のやるものだと思われがちなチアリーディングですが、彼らの熱意がそのような常識を変えていきます。大学生男子の情熱や勢いを感じられ、つい熱くなってしまうこと間違いなしの作品です。日々の生活に疲れた方にも是非お勧めしたい作品です。

  • ネタバレありの詳しいあらすじと感想はこちらの記事を参照ください。



『世界地図の下書き』

世界地図の下書き
題名世界地図の下書き
発行所株式会社集英社
発行日2016年7月31日
ページ数368頁

交通事故で親を失い、児童養護施設に預けられた太輔は、施設のみんなの優しい対応に段々と心を癒されていく。しかし、そんな明るく見える子どもたちにも、それぞれ抱えている背景や、今後の不安があるのだった。本物の家族のように生活する子供たちの絆は強く、互いを助け合って生きていく。

朝井リョウさんの他作品より、幼い子供たちの心情を描いた作品です。児童養護施設という触れにくいテーマについて書かれていますが、誰もが読みやすく、心温まる作品となっています。

  • ネタバレありの詳しいあらすじと感想はこちらの記事を参照ください。

『ままならないから私とあなた』

ままならないから私とあなた
題名ままならないから私とあなた
発行所株式会社文藝春秋
発行日2019年4月20日
ページ数252頁

小学校の頃からの大親友のカオルちゃんは少し変わっていたけれど、人一倍頭がよかった。勉強はそこそこでピアノが大好きな私と、効率を追い求める賢いカオルちゃんは性格が似ているわけではなかったけれど、大人になってもずっと仲良しだった。

賢いカオルちゃんは中学生の頃から、プログラミングソフトの開発に精を出しており、親友の私のために、ピアノのソフトの開発を目指していた。初めは素直に応援していた私だったが、段々とカオルちゃんの研究に違和感を抱き始めるのだった。

今までに挙げた作品とは異なり、少し背筋が寒くなるような冷たい感触のある作品です。徹底的に効率化を目指すカオルちゃんの姿が、現代のコンピューター化やAI化と似ているように感じられ、考えさせられます。

『世にも奇妙な君物語』

世にも奇妙な君物語
題名世にも奇妙な君物語
発行所株式会社講談社
発行日2018年12月1日
ページ数258頁

テレビドラマ『世にも奇妙な物語』のファンである朝井リョウさんが、映像化を夢見て作った物語。実際にありそうでないような話を描く現代の風刺短編集。

朝井リョウさんが、『世にも奇妙な物語』に憧れて手がけたといいうのも納得の作品です。どの作品も、少し不気味でそしてユーモラスな作品となっています。是非映像化が実現されてほしいと思います。短編集となっているので、まとまった時間が取れない方にもおすすめの1冊です。

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『何者』

何者
題名何者
発行所株式会社新潮社
発行日2015年7月1日
ページ数346頁

就活を控え、就活対策に取り組む就活生の4人。一見お互い協力し合っているようで、実態はお互いの牽制のし合いだった。就活により、削られていく精神状態の中、4人はどのような行動をとるのか。

SNSを利用し、懸命に自分を確立しようともがく現代の就活生の姿を描いた直木賞受賞作品。

『桐島部活やめるってよ』に並ぶ、の代表作です。この作品は、朝井リョウさんが会社員と作家を兼業していた時に書いた作品とのことで、就活生のリアルな心情表現に驚かされます。是非就活を終えた大学生に読んで欲しい作品です。

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『何様』

何様
題名何様
発行所株式会社新潮社
発行日2019年7月1日
ページ数409頁

朝井リョウさんの代表作『何者』のアナザーストーリー。『何者』に登場したキャラクターたちの背景が描かれている。光太郎の高校時代や、理香と隆良の出会い等の作品が入った短編集。

『何者』では就活に隠され見えなかったキャラクターたちの性格や生い立ちを知ることが出来る。

この作品は、朝井リョウさんの代表作『何者』のアナザーストーリーとなっており、『何者』を読んだ後に、この作品を読むことでさらに物語の理解を深め、作品を楽しむことが出来ます。

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『スペードの3』

スペードの3
題名スペードの3
発行所株式会社講談社
発行日2017年4月14日
ページ数344頁

小学校の頃から、人をまとめ、しきることが大好きだった美知代は、ミュージカル女優香北つかさのファンクラブ「ファミリア」でもリーダーとしてつとめ、ファンクラブを取り仕切ることで優越感に浸っていた。

しかし、美知代の天下であった「ファミリア」に新メンバーとして小学校の同級生であった「アキ」が入会すると、美知代の天下が段々と揺らぎ始める。

どこにでもいる学級委員体質の女の子の嫌な面にフォーカスした作品です。誰もが共感してしまうような内容で、朝井リョウさんの作品を読んだことがない方にもおすすめしたい作品です。

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『武道館』

武道館
題名武道館
発行日2018年3月20日
ページ数368頁

幼い頃から歌って踊ることが大好きだった愛子は、ついに夢を叶え、アイドルとしてデビューした。もともとアイドルに憧れていた愛子にとって、アイドルとしての活動は楽しく、やりがいもあった。アイドルの仲間にも恵まれ、愛子は楽しい毎日を送っていた。

そんな頃、世間ではアイドルとしての理想像を追い求める動きが強く、アイドルの熱愛等はタブーとされていた。愛子も自分には縁のない話だと思っていたが、段々と事態は動き始め、愛子のアイドル生活にも影響を与え始める。

アイドルの熱愛禁止等、アイドルに人間の理想像を押し付けるような動きに対する批判を込めた作品です。普通では知ることのないアイドルの苦悩や辛さを知ることが出来、とても考えさせられる作品です。

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『時をかけるゆとり』

時をかけるゆとり
題名時をかけるゆとり
発行所株式会社文藝春秋
発行日2014年12月10日
ページ数271頁

早稲田大学在学中に『桐島部活やめるってよ』でデビューした朝井リョウさんの痛快エッセイです。大学時代にしたバカなことから社会人になってからしたバカなことまでたくさんの笑ってしまう話が詰まっています。普段はクールで少しシリアスな小説を手がける朝井リョウさんの人間性を覗くことのできる1冊。

朝井リョウさんのユーモラスな人柄を表すエッセイが多数収録された作品です。疲れたときに是非読んでもらいたい癒しの1冊です。

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『もう一度生まれる』

もう一度生まれる
題名もう一度生まれる
発行所株式会社幻冬舎
発行日2014年4月10日
ページ数286頁

様々な思いを抱える大学生の姿を描いた作品です。それぞれの思いが交錯し、一筋縄ではいかない人間関係がリアルに描かれています。それぞれの話で主人公が異なり、話も完結する短編集です。

朝井リョウさんらしい、大学生の心情を豊かに描いた作品です。現役大学生の筆者もリアルな心情表現に共感してしまいました。

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『星やどりの声』

星やどりの声
題名星やどりの声
発行所株式会社KADOKAWA
発行日2014年6月25日
ページ数317頁

父を亡くし、母と兄妹6人で暮らす早坂家の様子を描いた作品です。優しく大きな存在であった父の死をきっかけに、それぞれの心に残った悲しみや不安を、父の死から年月が経った今、段々と消化していきます。家族の大切さや温かさを感じる作品。

父を失っても変わらず元気に生きる子どもたちですが、実は父の死から大きな悲しみや不安を小さな体に背負っていたことが分かります。思わず涙がこぼれてしまうような感動の作品です。

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『少女は卒業しない』

少女は卒業しない
題名少女は卒業しない
発行所株式会社集英社
発行日2012年3月10日
ページ数257頁

卒業式の次の日に校舎が取り壊されることが決まっているある高校の少女達の姿を描いた作品です。

ずっと心に秘めてきた恋愛や、友人関係等が、それぞれの視点で描かれています。各話ごとに物語の主人公が変わり、各話ごとに完結する短編集です。

卒業を境に思い出の場所を失ってしまう少女たちの新たな未来に向かって進もうとする姿に心を動かされる作品です。となっているので、移動時間の読書等にもおすすめです。

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『死にがいを求めて生きているの』

死にがいを求めて生きているの
題名死にがいを求めて生きているの
発行所中央公論新社
発行日2019年3月19日
ページ数480頁

大人しく、まじめな性格の智也と、気が強く、勝負事が大好きな雄介の2人は、性格は異なるのに、幼い頃からずっと仲良しだった。それは中学や高校、大学に進学しても変わらず、2人はいつも一緒にいた。

しかし、ある時雄介は大学を辞め、ある伝説をもとに、一人無人島へと赴こうとする。それぞれの心の葛藤が入り混じる物語です。

現実にはない伝説を扱いながらも、「生きがい」を求める現代の若者に重なる部分があり、妙にリアルな感覚のする作品です。情熱のある青年だと思っていた雄介の変貌ぶりに驚かされます。ゆっくりと読書を楽しみたい方にお勧めの1冊です。

  • ネタバレありの詳しいあらすじと感想はこちらの記事を参照ください。

まとめ・感想

若者に大人気の作家朝井リョウさんの作品を紹介いたしました。若者に人気というのも納得の、高校生や大学生の不安定な心情を見事に描きあげる作家さんです。

朝井リョウさんの作品を読んだことがあるという方も、初めて読むという方も、この記事を読んで、朝井リョウさんに興味を持っていただけたら幸いです。

お付き合いありがとうございました。

ABOUT ME
いけだ
読書家。現役女子大生。物心ついた頃から、本を読んで育つ。 本の読みすぎから、小学生時点で漢字の読みだけは高校生レベルを誇った。 活字は基本的に何でも読むが、中でも小説に目がない。本選びは、タイトルと書き出しを見て、直感的に行う。 無計画に書店をうろつき、本を眺めるのが至福の時。最近、小説をまとめ買いできるようになって、大人を感じている。
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