1冊の本をきっかけ生まれた、1つの恋を描いた物語です。
『図書館戦争』シリーズや、『阪急電車』等の作品で知られる、有川浩さんの作品です。
お互いが問題を抱えながら、恋に向かっていく姿に、胸を打たれること間違いなしの作品です。
では、読み進めていきましょう。
Contents
小説『レインツリーの国』の作品情報
題名 | 『レインツリーの国』 |
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著者 | 有川浩(ありかわひろ) |
発行所 | 株式会社 新潮社 |
発行日 | 2009年7月1日 |
ページ数 | 238頁 |
作者情報
- 有川浩(ありかわひろ)
小説家。『図書館戦争』シリーズや『植物図鑑』等の人気作を手がける。
中でも、『図書館戦争』は、俳優の岡田准一さんや、女優の榮倉奈々さん出演で映画化され、話題を呼んだ。この他にも、多くの作品が、映画化され、注目されている。
あらすじ(ネタバレなし)
ある1冊の本をきっかけに、伸とひとみはメールで連絡を取り合うようになる。
メールを通して、仲を深めた2人は、次第に、互いに好意を寄せるようになる。
実際に会って話をしたいと考えた伸は、ひとみをデートに誘う。
渋るひかりを説得し、なんとかデートは実現したが、会ってみると、彼女の行動には不思議な点が多くあった。
しかし、そこには、彼女がなんとしても隠したい秘密があったのだった。
問題を乗り越えても、2人で歩んでいこうと奮闘する、心温まる物語。
登場人物紹介
- 向坂伸行(さきさかのぶゆき):会社員。ひとみには、伸(しん)と呼ばれている。
- ひとみ:サイト『レインツリーの国』の管理人。『フェアリ―ゲーム』を通して伸と知り合う。
書き出し紹介
一体何の拍子でそんなことを調べてみようと思ったのかは自分でも分からない。
後から思えばそれが運命だったのかな、なんて思う。
ストーリー(ネタバレあり)
この先、ネタバレがあります。ご注意ください。
直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな。
ある日、伸行は、中学生の頃に読んだライトノベル『フェアリ―ゲーム』を思い出し、ネットで検索していた。
その中に、『レインツリーの国』というサイトがあり、『フェアリ―ゲーム』の感想について、熱く語られていた。
その感想に、心を動かされた伸行は、『レインツリーの国』の管理人に、メールを送った。
返事はあまり期待せず送ったメールだったが、丁寧な返信が届き、その後もメールを続けることになった。
相手の名前は、ひとみといった。
共通する趣味をもつ2人は、どんどんと距離を縮めていき、次第に、互いに魅力を感じるようになった。
意を決した伸行は、ひとみに、デートの誘いを送る。
自信がないからと渋るひとみを説得し、ついに2人は、デートの約束をした。
「重量オーバーだったんですね」
なんとかデートにこぎつけた伸行だったが、実際に会ってみると、違和感を感じる場面が多いことに気が付いた。
それでもなんとか、デートは進み、昼食を食べ、映画を食べたのち、2人は解散することになった。
帰り際、エレベーターにひとみが乗り込んだ瞬間、重量オーバーのブザーが鳴った。
しかし、お構いなしに乗り込んでいくひとみを見かねた伸行は、ひとみをエレベーターから連れ出し、叱った。
落ち込んだ様子のひとみの耳にかかっていたのは、補聴器だった。
ひとみは、聴覚障害をもっていたのだった。
傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて本当に親切で優しくてありがとう。
デートの帰り、最悪の雰囲気で別れた2人だったが、メールだけは続いていた。
しかし、ひとみは、頑なに、伸行のことを受け入れられずにいた。
一方で、伸行は、障害に関しても勉強し、何とかひとみと、また会いたいと考えていた。
そんな伸行のまっすぐな姿に、閉ざされていたひとみのこころも、段々と開き始める。
ついに、2人は、2度目のデートの約束をした。
2度目のデートは、お互い窮屈に感じるところはあれども、考えをその都度、伝えあうことができ、楽しく過ごすことが出来た。
「ごめんな、君が泣いてくれて気持ちええわ」
あるデートの日、耳に障害があるせいで、歩調が遅くなりがちなひとみは、歩行者に突き飛ばされて、ケガをしてしまう。
それを見て、腹を立てた伸行が、相手に怒鳴りかかると、ひとみは、注意したって何も変わらないから、やめてほしいと伸行に言う。
そのことがきっかけで、2人の意見は食い違い、2人の関係にも、再び距離が生まれてしまう。
歓喜の国
その関係を、打開したのはひとみだった。
障害を有することを、隠そうとばかりしてきたひとみだったが、ついに、髪を切り、補聴器を周囲から認識してもらおうと決意したのだった。
そして、伸行に、美容院に付いてきてくれないかと提案したのだった。
髪をさっぱりと短くしたひとみは、段々と、自らの障害を受け止めていく。
そんなひとみの姿を見て、伸行も、さらにひとみに魅力を感じるようになっていった。
そして、ある日のデートの帰り道、ついに2人は、付き合うことになったのだった。
まとめ・感想
ひとみのデートでの不自然さは、聴覚障害によるものだったという、思いもかけない展開に、驚かされました。
何度もすれ違う2人の関係に、筆者も、一喜一憂してしまいました。
読み終えると、幸せな気持ちになれる一冊です。
恋愛小説に関しては、是非まとめ記事もお読みください。
お付き合いありがとうございました。