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『アルケミスト 夢を旅した少年』のあらすじと感想|ネタバレあり

『アルケミスト 夢を旅した少年』は、ブラジル人作家・パウロ・コエーリョ氏がポルトガル語で書いた小説で、1988年ブラジルで出版されました。

後に世界各国で大ベストセラーとなり、ビル・クリントン、ウィル・スミス、ブリトニー・スピアーズ、マドンナ,ジュリア・ロバーツ,ラッセル・クロウ, マララ・ユフザイ、バラク・オバマ、ルイス・ハミルトン、大江健三郎、森山未來、戸田恵梨香、中山美穂、元JUDY AND MARYのTAKUYA、サカナクションのボーカル・山口一郎、などなど、多くの著名人が愛読している名著です。

『アルケミスト 夢を旅した少年』の作品情報

アルケミスト 夢を旅した少年
題名 『アルケミスト 夢を旅した少年
著者 パウロ・コエーリョ  (著), 山川 紘矢 (著), 山川 亜希子 (著)
発行所 KADOKAWA
発行日1997/2/21
ページ数 208ページ

パウロ・コエーリョ・作者情報

パウロ・コエーリョ

職業:作詞家、小説家 誕生:1947年8月24日 出身:ブラジル
1988年にブラジルで出版した第2作『アルケミスト – 夢を旅した少年』(Alquimista)は、現在では80か国語以上に翻訳され160か国以上で出版され世界歴代5位の大ベストセラー。2007年のアンデルセン文学賞など、世界中の国々から様々な文学賞を受賞している。世界中に多くのファンがいるので「文学界のポップスター」とも称される。

あらすじ

スペインのアンダルシアにサンチャゴという羊飼いの少年がいました。

彼は同じ夢を二度見ました。エジプトのピラミッドのところに行けば素晴らしい宝が見つかるという夢です。

彼はその夢を信じ、羊を売り払ってエジプトに渡ります。

サンチャゴは旅の途中でジプシーの女性や王と名乗る男、クリスタル商人など様々な人に出会いますが、彼の探している宝が一体何なのか、サンチャゴが障害を乗り越えられるかどうかは誰一人知りません。

さまざまな困難を経て旅を続ける彼は錬金術師に出会います。

錬金術師はサンチャゴが自分の弟子になるにふさわしい人物であることを見抜いていました。

宝物探しの旅は,心の中にある宝物を巡る瞑想へと変化していきます。

そして最後の命がけの試練を乗り越えた彼はついに宝物を手に入れました。

しかし彼が手に入れたのは金貨などの物質的な宝物だけではありませんでした。

物事の本質を理解する心と,愛する女性を手に入れたのでした。

書き出し紹介

少年の名はサンチャゴといった。少年が羊の群れを連れて見捨てられた教会に着いたのは、あたりがもう薄暗くなり始める頃だった。教会の屋根はずっと昔に朽ち果て、かつて祭壇だった場所には、一本の大きないちじくの木が生えていた。
 少年はそこで一夜を過ごすことに決めた。彼は羊の群れが、壊れかけた門を通って中に入るのを見とどけてから、夜中に羊が迷い出さないように、何本かの棒を門にわたした。その地方におおかみはいなかったが、以前、一頭の羊が夜の間に外に迷い出たため、少年は次の日一日、その羊を探しまわらなければならなかった。
 少年は上着で床のほこりをはらうと、読み終ったばかりの本をまくらにして横になった。この次はもっと厚い本を読むことにしようと、彼は独り言を言った。そうすれば、もっと長く楽しめるし、もっと気持ちのいいまくらになるだろう。
 少年が目を覚ました時、あたりはまだ暗かった。見あげると、半分壊れている屋根のむこうに星が見えた。
「もう少し、寝ていたかったな」と少年は思った。彼は一週間前に見た夢と同じ夢を、その夜も見た。そしてその朝もまた、夢が終る前に目が覚めてしまった。

ストーリー解説

アルケミストとは、錬金術師のこと。物質を金(金属)に変える事ができる人、または、人間の肉体や魂をより完全な存在に変えることのできる魔術師や魔法使いのような人のことをアルケミストと言われていますが、本書に登場する錬金術師については、錬金術師と名乗る男自身が、「[錬金術師とは]自然と世界を理解している男のことです。彼はその気になれば,風の力でこの野営地を破壊することもできます。」と語っています。

主人公は一人の羊飼いの少年サンチャゴです。

サンチャゴが錬金術師と名乗る男の導きと、旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行くというこの物語は、若者の成長の物語であり、主人公が旅に出て試練を経て成長し、宝物や美しい伴侶とともに故郷に帰るという、おとぎ話や冒険小説、映画やマンガでもお馴染みの王道ストーリーです。

あらすじでも述べましたが、この小説は主人公の少年が自分の見た夢を信じ、宝物を手に入れようと旅に出る物話。

この本の中には、「人生とは」「運命とは」「夢とは」という言葉が沢山出てきます。そして、「おまえが何か望めば、宇宙のすべてが協力して、それが実現するように助けてくれる」という言葉もしつこい位出てきます。それらの言葉は読む人、特に若い人や何かにチャレンジしようとしている人にとっては心に響くものがあるでしょう。人が何かを本当にやり遂げようとするときは。普段自分の中に備わっている力以上も何かが働くものです。そしてそれが真剣であればあるほど、そして真剣に努力を続ければ、「周りの人や世界が自分の夢の実現に協力してくれている」かのように感じることもあります。それが人生であり、運命であり、夢を実現することだと、教えてくれているのです。

この本による教え(=学び)は他にも色々あります。

例えば、「同じ友人といつも一緒にいると,友人が自分の人生の一部となってしまう。すると、友人は彼を変えたいと思い始める。そして、彼が自分たちの望み通りの人間にならないと、怒りだすのだ。誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な考えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった」という表現は、いつも近くにいる存在は当たり前のものになってしまい、それが本来持っている輝きが見えなくなってしまう、そして、相手に期待してばかりで自分のことはわからないものであること、そして、ある事柄を本当に知るにはそれを受け止める人の教養(認識力や理解力)が必要だということを教えてくれます。

また、今を大切に生きることの重要性についても頻繁に語られています。

例えば、アフリカに渡ってすぐサンチャゴは、市場で露天のキャンディ売りの少年が店を出すのを手伝います。そして「このキャンディ売りは,将来旅に出たり、店の主人の娘と結婚するために、キャンディを作っているのではない。彼はそうしたいからやっているのだ」と気づくのです。

最後のクライマックスのエピソードでは、錬金術師と名乗る男から「もし自分の運命を生きてさえいれば、人は知る必要のあることをすべて知っている。だが夢の実現を不可能にするものがひとつだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ」と忠告し、サンチャゴを「錬金術師であり自然と世界を理解している。だから彼は自分を風に変えることが出来る」と断言します。そしてサンチャゴは奇跡を起こし夢を実現するのです。

「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる。」

無名の少年が「奇蹟を起こすことが出来る」ことを知る物語には、勇気を持って夢を追いかけるこことの大切さや、街に自然にそして人間と出会い感性を磨くこと、自分の感性に従うこと、自分の力を信じること、自信を持つこと、他人に頼らないこと、他人を期待しないことなど、人生における哲学的学びが盛り沢山ですが、それらをファンタジー小説のような筋書きで語られるので、違和感なく説教臭くなくすんなりと受け入れられてしまうのも本書の凄いところです。

まとめ・感想

中身スカスカの自己啓発本を読む暇があるのなら、この本を何度も何度も読んだ方が良いです。

少し読み難い(原書がポルトガル語だから?)文体ですが、逆に何度も読める・何度読んでも飽きない本です。読む度に、読むタイミングによって、いろんな発見がある素敵な本です。

ストーリー的には夢を追求する純粋な子どもの王道的冒険ファンタジーですので、アニメやゲーム好きの人にもおすすめです。

なお、著者のパウロ・コエーリョ氏はノーベル文学賞候補の常連です。

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ABOUT ME
わたなべ
読書家。選書家。アラフィフ(老眼)。リタイア済みなので暇に飽かして読みたい本・読むべき本を読みまくる。経済、哲学、歴史、科学に小説まで、分野問わず。読んでも読んでも読みきれないので速読法を会得。とはいえ、生きてる間に読める本には限界があるので、今何を読むべきなのか日々思案している。
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