国内外問わず、大人気作家の吉本ばななさんのおすすめ作品を、定番から、通受けするものまで、全6作ご紹介します。
吉本ばななさんの作品は、悲しい展開の物語でも、どこか明るく、後味の良い作品であるため、悲しい作品が苦手な方にも、おススメしています。
中には、ページ数が少なかったり、軽く読むことのできるエッセイもあるので、小説初心者の方も是非読んでみてください。
1度読んだら、はまってしまうこと間違いなしです。
Contents
吉本ばなな・作者情報
小説家。『キッチン』や『TSUGUMI』等の有名作を手がける。
国内のみならず、海外でも人気があり、海外版に翻訳されている著書も、多くある。
エッセイも執筆し、『すばらしい日々』等の作品がある。
では、さっそく筆者が選ぶ、吉本ばななさんのおすすめ作品を、紹介していきます。
『キッチン』
発行所 | 株式会社 新潮社 |
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発行日 | 2002年7月1日 |
ページ数 | 197頁 |
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。
どこのでも、どんなのでも、それが台所であれば食事を作る場所であれば私は辛くない。
書き出しから、題名にもなっている「キッチン」への、主人公の愛が伝わってきます。
この『キッチン』は、吉本ばななさんのデビュー作であり、代表作です。
この物語の主人公、桜井みかげは、幼い頃に両親を亡くし、祖父母に育てられました。
しかし、その祖父母もなくなり、今まで顔見知り程度だった、田辺家に引き取られることになります。
田辺家での生活は、お母さんだと思っていた人が男だったりと、今までの常識がひっくり返されることばかりでした。
そんな中でも、台所を見て人を判断するみかげは、台所の気に入った田辺家を信頼して、大切にしていくことを決める。
別れを人一倍経験してきたみかげだからこそ分かる、今という時間の大切さがひしひしと伝わってきます。
どんな別れに際しても、落ち込み続けず、前に進もうとするみかげに、元気をもらえる1冊です。
特にこんな人におすすめ
- 別れを経験し、落ち込んでいる人
- 小説初心者の人
『ふなふな船橋』
発行所 | 朝日新聞出版 |
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発行日 | 2018年3月30日 |
ページ数 | 246頁 |
強烈に、映画の1場面のように、その景色は丸ごと私の中に刻まれていた。
春先の優しい雨が降っていた。
雨の船橋、駅前のビル群が全て灰色にかすんで見えて、私はうっすら淋しい気持ちになっていた。
主人公の立石花(たていしはな)は、15歳にして、親元を離れ、船橋に住むおばの家に住むことになります。
というのも、花の父親は借金を作って失踪し、そんな父と離婚した母は、再婚し新しい家庭を作ることを決めたのです。
そんな状況の中、花は、家庭の状況に流されず、自分で道を切り開いていきたいと思い、一緒に住もうと誘う母を断り、1人船橋にやってきました。
花には、船橋に越してきてから、15年が経った今でも見続けている夢がありました。
その夢の中にいる自分は幼く、毎回同年代くらいのある女の子がでてくるのでした。
その女の子は、次第に話しだし、花にあるお願いをしてきます。
花の人生には、人一倍苦悩もあり、決して恵まれた人生とは言えません。
しかし、そんな中でも、新たな光を探して、奔走する花の姿に、勇気をもらえること間違いなしの作品です。
特にこんな人におすすめ
- 暗い小説は苦手な人
- ふなっしーが好きな人
『彼女について』
発行所 | 株式会社 文藝春秋 |
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発行日 | 2011年6月10日 |
ページ数 | 225頁 |
私が昇一と最後に会ったのはふたりが小学校に上がる直前くらいのときだったろうか。
その日があまりにも楽しくて、今日が永遠に続けばいいと思ったくらいだったから、どういうことがあったのかをよく覚えている。
主人公が、過去の出来事を思い出す場面から、物語は始まります。
主人公の由美子は、幼い頃に、魔女だった母の魔法によって、両親を亡くしています。
幼かった由美子は、なんとか命拾いをしましたが、母にかけられた呪いを一身に背負って生きてきました。
その呪いを解くために、仲良しの幼馴染、昇一と旅に出る物語です。
悲惨な過去をもつ由美子ですが、過去に押しつぶされず、素直に健気に生きていきます。
最後には、想像を裏切る展開が待っています。
辛い状況のなかでも、自分を貫き、生きていく由美子の姿勢に、胸を打たれること間違いなしです。
特にこんな人におすすめ
- 感動したい方
- 魔法に興味のある方
『花のベッドでひるねして』
発行所 | 株式会社 幻冬舎 |
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発行日 | 2017年4月15日(文庫版) |
ページ数 | 187頁 |
私は、海辺でわかめにくるまっているところを母に拾われた捨て子の赤ちゃんだったそうだ。わかめが何層にも重なってベッドみたいになっているところに派手な色の毛布が置いてあり、その上に私はぽつんといたらしい。
主人公の、幹は、海辺に捨てられていた捨て子で、血のつながらない家族と共に暮らしています。
その家族は、血のつながらない幹のことを温かく受け入れ、我が子のように育ててくれました。
一家は、祖父が残したB&Bを経営しています。
もう亡くなってしまった祖父は、不思議な人で、「違うことをしないこと」が教えでした。
幹は、その教えを守りながら、幹を取り囲む世界の不穏な動きに立ち向かっていきます。
困難に直面しても、めげない幹に、希望をもらうことのできる1冊です。
『哀しい予感』
発行所 | 株式会社 幻冬舎 |
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発行日 | 2006年12月15日 |
ページ数 | 179頁 |
その古い一軒家は駅からかなり離れた住宅街にあった。巨大な公園の裏手なのでいつでも荒々しい緑の匂いに包まれ、雨上がりなどは家を取り巻く街中が森林になってしまったような濃い空気がたちこめ、息苦しいほどだった。
ある一家の娘として何不自由なく育った弥生は、幼い頃の記憶がない。
そんな弥生には、幼い頃から、心の通じ合う変わり者のおばがいた。
ある日、「予感」が弥生の胸をかすめ、弥生はおばの元へやってきた。
おばと触れ合う中で、自らの過去と、おばとのつながりを見つけ出す、切なく、そしてどこか、前向きな気持ちになれる物語です。
- ネタバレありのあらすじと感想はこちらの記事を参照ください。
特にこんな人におすすめ
- しんみりと本を読みたい人
『すばらしい日々』
発行所 | 株式会社 幻冬舎 |
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発行日 | 2017年2月10日(文庫版) |
ページ数 | 154頁 |
人それぞれ対応は違っても、日本にいる人は多かれ少なかれ、みんなが放射能のことを気にしている。
それは正しいことだと思う。
実際測ってみると数値は高いのだし、野菜をよく洗ったり、飲み水に気をつけたり、発表されたデータをしっかり見たり、そういうことは必要なことだと思う。
前の5作と異なり、この作品は、吉本ばななさんのエッセイです。
吉本ばななさんの、老いていく父母と過ごした日々が描かれています。
「すばらしい日々」というタイトルがぴったりの、ほっこりとするエッセイです。
吉本ばななさんの人柄等も伝わってくるとても素敵な作品です。
さらっと読むことのできるエッセイになっているので、小説が苦手な方もおすすめの1冊です。
特にこんな人におすすめ
- 小説に抵抗のある方
- 癒されたい方
あとがき
今回は、筆者も大好きな作家の、吉本ばななさんのおすすめ作品を紹介しました。
吉本ばななさんの作品は、深い内容のものも、どこか希望があり、読んだ後の後味がいいのが特徴です。
自然と物語に入り込んでしまうような、吉本ばななさんの独特の世界観がたまりません。
軽く読みやすい作品も多いため、小説が苦手な方もぜひ手に取ってみてください。
お付き合いありがとうございました。
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