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『シャンデリア』のあらすじと感想|ネタバレあり

『シャンデリア』の作品情報

題名『シャンデリア』
著者川上未映子(かわかみみえこ)
発行所Amazon Services International, Inc.
ページ数28頁

川上未映子・作者情報

小説家。2008年に、2作目の著書となる「乳と卵」で、芥川賞を受賞。その後も、「ヘヴン」等の作品を手がけ、注目されている。

また、エッセイも執筆しており、『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』等の作品がある。

あらすじ(ネタバレなし)

友人に呆れられるほど、私は毎日デパートに足を運ぶ。そして、ブランド物の化粧品や洋服等を購入するのだ。私にとってこの行動は特別な日のご褒美でもなんでもなく、もはや習慣である。毎朝10時の開店と共にデパートを訪れ、店内をめぐる。

仕事もせず、毎日デパートで買い物ばかりしている裕福な主人公だったが、その人生は幸せなことばかりではなかった。

書き出し紹介

そういうのって楽しいんですかね、と聞かれることがたまにある。何が?質問の意図はちゃんと理解しているけれど、わたしはいつもそんなふうに聞き返すことにしている。

ストーリー(ネタバレあり)

この先、ネタバレがあります。ご注意ください。

仕事をせず、毎日10時の開店と共に、デパートに足を運ぶわたしは、今年で46歳になった。毎日飽きることもなく、わたしはデパートの化粧品売り場からファッション売り場までをめぐり、ブランド物のコスメや服を購入する。

その日も変わらずわたしはデパートを訪れ、買い物をしていた。まずは化粧品。1万円もするハンドクリームを購入し、店員に勧められるがまま、5万円の新作美容液も購入した。化粧品を一通り眺めると、次はジュエリーである。900万円もするジュエリーを試し、これを買ったらどうなるのだろうと考えたりする。この日はジュエリーは買わず、ブランドファッション売り場へと足を運ぶ。

わたしは、ふとした時に死について考えることがある。初めにわたしがまとまったお金を手に入れたのは、3年前だった。それまでは、わたしはほとんど貯金もなく、仕事を繋いで生活をしていた。3年前のある日、わたしの口座には三千万を超える大金が振り込まれた。元をたどると、わたしが随分前に製品化を手伝ったダイエットマシンが10年以上の月日をかけ人気を博し、その報酬が支払われていたのだった。

しかし夢のような気持ちと共に、死にたい気持ちが現れるようになった。わたしの母は金銭のトラブルを抱え、限りなく自死に近い事故死をとげていた。そんなわたしは、お金に憧れがあると同時に、嫌悪感もあるのだ。

シャネルやヴァレンティノ等を物色し、ドルチェ&ガッバーナに入る。服やカバンを眺めていると、店員に接客をされる全身をブランド物で固めた老婆が目に入った。老婆の服装は見るからに高級そうで、完璧だった。ふと老婆に声をかけ、服装を褒める。意外にも、老婆と話が盛り上がり、店を出てからも一緒にデパートを眺めることになった。

老婆は、記念にとわたしにもプレゼントを買ってくれた。結局、老婆はデパートを出る頃には大量の荷物を手にしていた。タクシーに乗り帰ろうとする老婆は、見送るわたしに「お母様にもよろしく」と言った。わたしは老婆に、母が亡くなったことを隠し、母と2人暮らしをしていると嘘をついていたのだった。しかし、この言葉を聞き、私は色々な気持ちがあふれ、去り際に老婆に暴言を吐いてしまう。

続いて自分も帰ろうと乗ったタクシーの中で、わたしはなんだか涙が止まらなくなる。
タクシーを降り、いつも立ち寄る公園で座っていると、自分のありのままを知った誰かが懐かしい姿でやってくるような気がした。しかし、そんなことは幻想で、誰も現れず、わたしは物思いにふけるのだった。

まとめ・感想

本当の豊かさとは何なのかを考えさせられる短編ながらも内容の深い物語でした。

お金に、相対する2つの気持ちを抱える主人公の描写から、自分が同じ境遇に置かれたらどう行動するのかを考えてしまいました。

読む人によっても、この本から受ける印象は大きく違うのではないかと思います。

短編で、移動時間等にも読みやすい作品になっているので、是非一度読んでみてください。

お付き合いありがとうございました。