『最後は臼が笑う』の作品情報
題名 | 『最後は臼が笑う』 |
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著者 | 森絵都(もりえと) |
発行所 | Amazon Publishing |
発行日 | 2018年1月23日 |
森絵都・作者情報
小説家。『カラフル』や『DIVE!』等、数々の有名作を手がける。中でも、『DIVE!』は、映画化やアニメ化もされ、話題を呼んだ。また、2006年には、『風に舞い上がるビニールシート』で、直木賞を受賞している。
あらすじ(ネタバレなし)
学生時代からの友人桜子は、昔から男運がなかった。私たち友人がどんなに忠告しても、暴力を振るう男や借金のある男等ダメな男を捕まえてしまう。そんな桜子はいつも「ダメな男にもただ一点の愛らしさがある」と語っていた。
そんな桜子が「ついに一点の愛らしさもない完璧な悪い男を見つけた」と学生時代の友人である私たちに連絡してきた。
登場人物紹介
- 私:学生時代からの桜子の友人。桜子の男運には学生時代から頭を悩ませていた。
- 桜子:私の友人。長年ダメな男を捕まえ続けている。
書き出し紹介
善なるものは遠くあっても接近してもさほど外見の印象が変わらず、どの角度から見ても同じ球体のような不動の丸みを帯びている。けれども悪は視点によってめざましくその形状を変じ、近づくほどに思わぬ側面を覗かせる。
ストーリー(ネタバレあり)
この先、ネタバレがあります。ご注意ください。
長い付き合いの友人である桜子は、学生時代から男運が悪かった。どんなに私たちが忠告し、男を選ぶよう言っても、暴力男や借金男等、ダメな男を捕まえてしまうのだ。そんな桜子のために、私たちは友人4人で「桜子の男運を変える会」を開いた。しかし、桜子は、「どんなに悪い男でも一点の愛らしさがあり、それを見られるのなら自分は良い」と主張し、頑として変わろうとしなかったため、会は解散した。
それから年月が経ち、私たちは40歳を目前にしていた。そんな時、桜子から、「桜子の男運を変える会」のメンバー達に連絡が入った。どうやら「一点の愛らしさもない完璧な性悪男」を見つけたらしい。話を聞いてみると、その男は毎日通勤電車で会う男で、極平凡な見た目をしているが、30〜50代の女性が自分の前に立っていると無理矢理席を譲るのだという。一方で男は、高齢の人に対しては狸寝入りを決め込み席を譲らないというのだ。故意に、老化を感じつつもまだ若く見られたいと願う年代の人を狙い、席を譲ることで傷つけようとしているようだった。実際桜子も男の前に立って見たときに、同じ目にあったというのだ。
それを聞いた私たちは怒りに煮えくり返り、男に復讐を誓った。私たちのプランは、友人の1人が男の前に立ち、席を譲られたら「バカにするな」とキレることで、動転した男に足を引っ掛け、転ばせるというものだった。
作戦決行当日、電車に乗り込むと、やはり男はいた。作戦通りの位置に陣取り、時を待っていると、案の定男は席を譲ってきた。しかし、怒鳴りかかろうとした瞬間、別のおばさんが席が空いたのを見て突進してきたのだ。そして、逃げ遅れた男は、おばさんに激突され、電車の床にバッタリと倒れた。すると、いつも男の悪行を見ていた車内は、拍手に包まれたのだった。作戦は失敗したが、男を懲らしめることには成功した私たちだった。
まとめ・感想
読み終えた瞬間心がスカッとする一冊でした。
実際にありそうな内容に、読みながらクスッと笑ってしまいました。
短編小説で、すぐに読み切ることのできる作品なので、スキマ時間の読書にもオススメです。
お付き合いありがとうございました。