文芸・現代

『無限大ガール』のあらすじと感想|ネタバレあり

『カラフル』や『みかづき』等の作品を手がける、森絵都さんの作品です。

この作品は、Amazonのkindleのみで配信されています。Amazonのprime会員だと無料で読むことができます。

作品の長さが、とても短いため、移動時間等短時間で読書をしたい方にも、おススメの1冊です。

では、読み進めていきましょう。

『無限大ガール』の作品情報

題名『無限大ガール』
著者森絵都
発行所Amazon publishing
発行日2018年3月20日
ページ数41頁

森絵都・作者情報

小説家。『カラフル』や『DIVE!』等、数々の有名作を手がける。中でも、『DIVE!』は、映画化やアニメ化もされ、話題を呼んだ。また、2006年には、『風に舞い上がるビニールシート』で、直木賞を受賞している。

あらすじ(ネタバレなし)

主人公の相川早奈は、ハケン部員として活躍していた。ある日はソフトボール部、ある日はバスケットボール部、といったように、毎日違う部活に足を運び、欠員の補充として活動するのだ。そんな早奈に、演劇部から派遣の依頼があった。

演劇経験はないものの、何事もそつなくこなすことのできる早奈は、二つ返事で引き受けた。しかし、そこで待っていたのは、早奈の失恋相手の先輩だったのだ。

早奈が、自分を認め、新しい道を歩んでいく姿を描いた物語です。

登場人物紹介

  • 相川早奈(あいかわさな):女子高校生。ハケン部員として、様々な部活の欠員を補充している。
  • 藤見仁平(ふじみじんぺい):早奈の先輩。以前、早奈と付き合っていたが、自らの意思のない早奈に呆れ、別れた。

書き出し紹介

はい、では皆さん、さようなら。担任のゆるい挨拶とともにホームルームが終わる。授業時間から放課後へとスイッチが切りかわる。たちまちガラリと教室の扉が開かれ、我先にと複数の人影が駆け込んでくる。

ストーリー(ネタバレあり)

この先、ネタバレがあります。ご注意ください。

高校生の相川早奈は、様々な部活の欠員を補充するハケン部員として活躍していた。ある日はソフトボール部、ある日はバスケットボール部といったように、毎日欠員に悩む部活を転々とするのだった。早奈がハケン部員になったきっかけは、高校1年生だった去年の秋にあった。試合前に欠員が出て悩んでいたバレー部員の友達に泣きつかれ、軽いノリで引き受けたのだった。その際に、そこそこの活躍を見せた早奈は、段々と他の部活からも欠員補充の依頼を受けることになったのだった。

そんなある日、早奈は演劇部からハケンの依頼を受けた。演劇経験はなかったが、何事もそつなくこなすことのできる早奈は引き受けることを決めた。しかし、そこで待っていたのは、早奈が手痛く失恋した相手だったのだ。

中学1年生の時、早奈は1つ上の藤見先輩に恋をした。藤見先輩を追って同じ高校に入学した早奈が、思い切って告白し、2人は付き合うことになった。しかし、先輩に惚れるあまり、自分の意志をもたず、先輩の言いなりで過ごしていた早奈に、先輩はあきれ果て、4か月で別れを告げられたのだった。その後も、早奈は、失恋を引きづっていた。

失恋を引きづっていた早奈だったが、演劇の練習は思いのほか楽しく、上達も早かった。早奈が任された役は、台本を書いた藤見先輩が理想とする女性の像であるとの話を聞き、早奈は良い案を思いつく。劇中で務める役柄を、劇以外の場でも演じていれば、先輩は自分のことを好きになってくれるのではないかと考えたのだった。

実際、その案は正解だった。劇中の役のキャラクターを演じ続ける早奈に、藤見先輩は感銘を受ける。そして、2人の距離は、どんどんと縮まっていくのだった。それと同時に、早奈は演劇の虜にもなっていった。家でも劇の練習をし、どんどんと演劇にのめりこんでいった。劇の本番が近づいたある日、早奈は先輩に呼び出され、告白された。そこでも、劇のキャラクターを演じ続け、その日は返事を先延ばしにしてもらった早奈だったが、心の中は有頂天だった。

劇本番当日、早奈は精一杯の力を出し切り、役を演じきった。その結果、劇場は感動の渦につつまれ、「アンコール」の声が響き渡った。

まとめ・感想

「自分がない」と先輩に振られた早奈が、自分の適所を見つけ、一生懸命に努力する姿に心を打たれました。

通常だと欠点として見られるものでも、味方をかえれば、代えがたい長所になる場合もあるのだと気づかされた作品でした。

短時間で読むことのできる作品なので、移動時間や寝る前の読書として、是非読んでみてください。

お付き合いありがとうございました。

ABOUT ME
いけだ
読書家。現役女子大生。物心ついた頃から、本を読んで育つ。 本の読みすぎから、小学生時点で漢字の読みだけは高校生レベルを誇った。 活字は基本的に何でも読むが、中でも小説に目がない。本選びは、タイトルと書き出しを見て、直感的に行う。 無計画に書店をうろつき、本を眺めるのが至福の時。最近、小説をまとめ買いできるようになって、大人を感じている。
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