マインド・自己啓発

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』(ちきりん)あらすじ・要約・感想まとめ

内容紹介

人生100年時代、果たして我々は何歳まで働くのでしょうか。

定年が70歳になるであろうと言われている将来、本当に70歳まで働くことは可能なのか。

そもそも、人生の働く期間をなぜ定年というもので決められなければならないのか。

早めに引退してのんびりと余生を過ごしたい人もいれば、死ぬ直前まで働きたいという人もいます。

本来、いつまでどのように働くかということは、個人の生き様に関わる重要な判断事項です。

いつまでどのように働くか、人々がオリジナルな人生を送るために筆者が提案するのは、「40代で働き方を選び直す」という生き方です。

20代で就職した際は、社会の仕組みもよくわからず、自分がしたい仕事や働き方の理想も見えていないことがほとんど。

20代で就職したのち仕事を20年ほど続けた後なら、自分がやりたいことや理想的な生活が見えてきて、それを達成する方法も見つけることができるはずです。

「一生の間に2パターンの職業人生を送る」という考えをあらかじめ持っておけば、2回目には主体的に働き方を選び直すことができるのです。

先の見えない世の中と言われる昨今、オリジナルな人生を歩みたい人におすすめの1冊です。

題名未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
著者ちきりん
出版社株式会社文藝春秋
発行日2015/11/10
ページ数238ページ

こんな人にオススメ

・キャリアに不安がある方

・自分らしい人生を手に入れたい方

・新たな挑戦をしたい方

著者紹介

著者名 ちきりん

社会派ブロガー、紀行文筆家。

バブル期に証券会社に就職。

米国への大学院留学を経て、外資系企業に勤務。

その後、文筆家として活動。

さまざまな社会問題に対し独自の意見を述べているブログ「Chikirinの日記」の作者。

著書に『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)、『自分の意見で生きていこう』(ダイヤモンド社)、『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』(イースト・プレス)などがある。

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』要約

・現状維持の先にある未来

今の若い世代は70歳まで働かねばならない可能性が高いといわれます。

政府が年金支給開始年齢を引き上げざるを得ないという理由で、雇用の延長を推進しているためです。

果たしてどれほど多くの人が、自分が70歳まで働く姿を想像しているでしょうか。

70歳とは、誰しもが若い頃と同じようにフルタイムで働けるような年齢ではありません。

これまで、「働く人生」と「引退後の人生」は定年を区切りとしてバランスが取れていました。

定年が延長されることでそのバランスが崩れ、多くの人が期待していた「引退後は夫婦でゆっくり趣味や旅行を楽しもう」という第2の人生は現実的ではなくなる可能性があるのです。

未来の働き方を考えるにあたり考慮すべきことは、勤労期間の長期化のほかにもう一つあります。

それは、少子化が深刻化し家族の形が変わるということです。

少子化により、若者が主な消費者である財やサービスの市場規模は、右肩下がりになることが確定しています。

ここでいう財やサービスとは、食料品、衣料品、出産育児用品、教育サービス、エンターテインメント、自動車、家電など多岐にわたります。

国内での消費が減少すればそれだけ企業の売り上げも減少することになり、そういった企業の多くは人口と所得が伸び続ける新興国へ活路を求めることになるのです。

今までより多くの日本人が長期間海外で働くことになり、結婚生活や子育てスタイルが大きく変化することでしょう。

これまでほとんどの男性は、「出産・育児のために自分の働き方を変える」という検討をしてきませんでした。そういう判断を迫られるのは99%女性側だったのです。けれど、これからはそれも変わります。一気に半々にはなったりしないでしょうが、男性側にも「妻が妊娠したので、会社を辞めます」とか「妻が海外に転勤するので、私ついて行くことにしました。なので退職します」という人が少しずつ増えて行くはずです。

「家庭と仕事の両立」は男女共通の課題になるのです。

・世界を変える3つの革命的変化

現在、世界レベルでは、産業革命に匹敵する社会の変化が起こりつつあるとされています。

それは、次々と登場する革新的な技術であり、驚くべきスピードで進行するグローバリゼーションの潮流です。加えて、人口増加率や経済成長率の国家間格差により、国と国とのパワーバランスも大きく変わろうとしています。

革命の条件は、歴史上の革命の共通点から、「パワーを持つ層の交代が起こること」とします。

かつての革命は、従来の支配者層が没落し、それまで抑圧されていた層との力関係が逆転した場合にそう呼ばれているのです。

世界を変えるといわれる革命的変化(パワーシフト)は以下の3つです。

1.大組織から個人へ by IT革命

高度な技術を持つ個人が、国家レベルの外交機密を公にし世界各国の権力者に影響を与えたウィキリークス、短期間で国家に対抗しうる大勢の市民が結集し、リアルな武力革命が実現した「アラブの春」などが代表的です。

また、これまで大企業が持つことで有利な立場を維持してきたビジネスインフラも、今や外部から機能ごとにバラバラに調達できます。

ビジネスの世界でも大企業の優位性は急速に弱まり、個人や小企業が大きな組織に対抗することが、以前に比べてはるかに容易になりつつあります。

2.先進国から新興国へ byグローバリゼーション

グローバリゼーションにより世界がつながると、制度や考え方も世界で統一されていきます。

同一労働・同一賃金という考え方により、インドにいながらにしてアメリカレベルの賃金を狙えることがグローバリゼーションなのです。

また、新興国の人口が増え先進国の人口が減る「人数バランスの変化」もパワーシフトの大きな要因です。

今はネットで教育を受けられる時代。高度な教育を受けるためのコストは急激に下がっています。

教育を受ける機会が均等化することで、新興国から多くの才能が生まれ、高度な知的分野においても先進国の優位性が揺らぐことになります。

グローバリゼーションの進展と人口構成の大きな変化により、これまで他国の犠牲の上に成り立っていた先進国の人たちの生活と働き方は、大きく変わらざるをえません。先進国から新興国へ。これがグローバリゼーションによって引き起こされる、ふたつめのパワーシフトなのです。

3.ストックからフローへ by人生の長期化

人生100年時代、一生のうちにひとつの仕事しか経験しないのは非現実的です。

時代とともに職業ニーズは変わり、歳をとれば自分も変わります。

これまではできるだけ多くのストック(資産)を持つことが有利とされていました。

しかし今後は、ストックの多さよりもその時々に何らかの価値を生み出し続ける「フローの力」が重要になります。

長生きの可能性が高まると、いくら貯金=ストックをもっていても不安は尽きないけれど、稼ぐ力=フローを得る力がある人は、ストック型の人より安楽に構えていることができます。いわば、「過去に貯めた資産を持つ人から、稼げる人へのパワーシフト」が起こるのです。

・ふたつの人生を生きる

世の中の変化を感じ、自分もこのままではいけないと感じているのに具体的に何をしたらいいかわからない人へ筆者が提案するのが、40代で働き方を選び直すという考え方です。

これは、最初から「職業人生は2回ある」という発想。

働く期間を20代から40代後半までの前期と、40代後半以降の後期に分けて考えるのです。

1回目の職業人生では他人と違う働き方は選びにくく、自分基準で選ぶだけの情報も持ち合わせていません。

よって多くの人が似たような定番コースを歩き、定番ライフイベントを組み合わせた人生になります。

2回目の職業人生では、怖くて取ることのできなかったリスクの大きさも感覚的に理解でき、異なるものを選ぶ勇気も出てきます。

「自分で創るオリジナルの働き方」ができるようになるのです。

大事なことは、20年も働き、様々な条件が整った40代という時点で、20代の就活後初めて、主体的に働き方を選びなおすという視点を持つことなのです。

40代というのは、誰でも人生の有限感と向き合わなければならない最初のタイミングです。

ここで人生の優先順位を改めて確認し、働き方をリセットすることに意義があります。

そうすることで、本気のワークライフバランスを実現できるのです。

ワークライフバランスとは、

・人生のどの期間に、

・仕事と家庭と趣味のどれに、

・どの程度ずつ時間を割り当てるのか

ということを、本人が決められることであり、自分自身でワークとライフのバランスを、一定の自由度をもって設計できることを言うのです。

人生が100年で70歳まで働くのであれば、40代から新たなキャリアを積み始めても全く遅くはありません。

・求められる発想の転換

40代からオリジナルの人生に移行というと、よほど経済力があるか特別な能力がある人しかできないのではないかと考えてしまいがちです。

そこで、不安感を拭うために発想の転換をしましょう。

1.お金に関する発想の転換

早期引退を可能にするのは収入ではなく支出の多さです。

収入が高くても、それに合わせて支出が高水準になってしまえば、結局のところ一生働かなくてはならないのは、高所得者も同じなのです。

また、働き方を変えるには、まず十分な資産を貯めなければならないという発想が間違っています。

結局のところ、自分のお金で死ぬまで(経済的に)困らない人というのは、少々年収が高いとか、ちゃんと貯金をしていたとか、家のローンが終わっていたなどという人ではなく、寿命の短い人なんです。

自分のお金だけで一生食べていけるようになるまで貯金するのではなく、元気な限りそこそこ働けるような態勢を40代で整えようと考えるべきです。

2.寿命に関する発想の転換

いくら平均寿命が伸びようと、個人個人が確実にその年齢まで生きられるわけではありません。

人生の有限感を意識している人は、小さな不安に怯えることはありません。

本当の不安とは、人生が終わるという瞬間が、明日にもやってくるかもしれない、ということです。

人生が有限だと宣告された時に生き方が変わるのだとしたら、それまでの人生は、自分が本当に望んでいる生き方ではなかったということです。

やりたいと思っていたことがいつできなくなってしまうかはわかりません。

「いつか」やろうではなく、「今」やるべきなのです。

・オリジナル人生を設計するために

ステップ1:手に入れたい人生を明確にしよう

「やりたいことがある」というのは幸せなことです。

手に入れたい生活イメージを具体的に考えましょう。

大切なのは、「そんな生活で食べていけるだろうか」ではなく「そんな生活を本当に自分は楽しいと思えるか、それさえできていれば他のことが満たされなくても楽しいと思えるのか」です。

ステップ2:複数の将来シナリオを持とう

自分が選ぼうとしている職業は将来どんなキャリアに分岐していくのか、次に行く道を考え続けましょう。

キャリア形成について組織任せにせず個々人できちんと考え、進むべき道を定期的に選びなおすことで、40代でオリジナルな人生を選ぶことが難しくなくなります。

ステップ3:市場で稼ぐ力をつけよう

市場に近いところで働き、マーケット感覚を身につけましょう。

市場のニーズに応えられる力がつけば、時代が変わっても一生苦労しなくて済みます。

最近は誰でも市場で稼ぐことが容易になりつつあります。

どんどん”市場化”が進む社会では「市場に巻き込まれないように逃げ回る」とか「自分を守ってくれそうな組織にしがみつく」より、市場で選ばれる力、市場から稼ぐ力をつけようと努力するほうが、よほど有益です。

稼ぐためには何が必要なのかを理解する力が重要なのです。

実践ポイント

多くの人は、自分はここで死ぬまで働くわけではないだろう、と感じていながらも、ではいつ働き方を変えるのかという具体的なことは考えられません。

筆者の「40代で働き方を選びなおす」という提案は、働き方を自分で再選択する可能性について考えるきっかけを与えてくれます。

いつかやろうと思っていることがある人、やりたいことがあるけどうまく行くかわからなくて踏み出せない人、いろんな人がいます。

やりたいことなんてないという人も一定数いると思います。

やりたいことがある人もそうでない人も、一度自分の理想的な生活を思い描いてみましょう。

どこで誰と住んで、何時に起きて、どんなことをして1日を過ごすのか、具体的に書き出してみるのです。

理想の生活が見つかれば、スケジュール表を作るほどに詳細にありありとその生活を想像してもいいかもしれません。

その生活が、対してお金が儲からなくても、世間からの称賛を得られなくても楽しいと感じられるものであれば、手に入れたいものが明確になったということです。

意識的に考えてこそ、やりたいことに気付けます。

焦らず、じっくりと自分の理想を書き出してみましょう。

感想・書評・学んだこと

本書を初めて読んだ際、何となくこのままではいけないような気がするが何をしたらいいのかわからない、という状態でした。

やりたいこともあるけどできない、自信がない、そんな生活ができると思えない、そう考えて身動きが取れなくなっていたのです。

何となくこのままではいけない気がする、という不安の正体が「3つの革命的変化」の章で明らかになり、自分が今どのような時代に生きているかが鮮明になりました。

やりたいことがあるのは幸せなこと。

頭ではわかっていても、今の時代に生命の危機を感じる場面は少なく、人生の有限感を感覚として感じることは難しくなっています。

でも、人生は誰にとっても間違いなく有限なのです。

せっかく見つけたやりたいことを後回しにするのではなく、「今」やるようにしよう、そう思わせてくれた本でした。

最高の名言

誰かの人生ではなく、自分の人生を生きること。周りにどう見られるかではなく、自分が心から気持ちよいと思える人生を送ること。それが何よりも大事なことなのです。

人生の傍観者になるのではなく、舞台に上がり演じましょう。

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