仕事術・スキルアップ

『苦しかった時の話をしようか』(森岡毅)あらすじ・要約・感想まとめ

内容紹介

就職、転職、起業……

生きている限り、キャリアに対する悩みは尽きません。

自分の将来に不安を感じたり、自身の価値に疑問を感じる方も少なくないはずです。

世界は神様の「ランダム」の結果、不平等にできています。

しかし、あなたは自分の人生を自分自身で選ぶことができます。

自分の人生を選ぶためにも、いかに現実を見極め、正しい選択をしていくかが重要になります。

本書は、マーケターである著者が、キャリアに悩む自身の娘に向けて書いた原稿を書籍化したものです。

自分のキャリアをマーケティングの観点から考えることができる一冊です。

題名苦しかった時の話をしようか
著者森岡毅
出版社ダイヤモンド社
発行日2019/04/10
ページ数305ページ

こんな人にオススメ

・自分のキャリアに悩んでいる方

・自分の人生をより良くしたい方

・自分の価値を高め、より必要とされる人材になりたい方

著者紹介

森岡毅


森岡毅は、兵庫県出身の戦略家・マーケター。

神戸大学経営学部を卒業後、1996年にP&G入社。

北米パンテーンのブランドマネージャー等を経て2010年にUSJに入社。

革新的なアイデアで窮地にあったUSJをV字回復させる。

2017年にUSJを退社し、マーケティング集団「株式会社 刀」を設立。

「マーケティングで日本を元気に」の大義の下、数々のプロジェクトを手掛ける。

『苦しかった時の話をしようか』要約

・やりたいことがわからないのはなぜか?

平成になってから一気に使われるようになった言葉があります。それが「自分探し」です。

多くの方が持っている悩み。

「やりたいことがない」

そもそも、なぜやりたいことがないのでしょうか?著者は次のように述べます。

自分の中に基準となる「軸」がなければ、やりたいことが生まれるはずも、選べるはずもない。

「軸」とは、自分が人生において最も大事にしてるものです。

逆に、軸が明確ならばやりたいことは生まれてくるはずです。

この「軸」は、キャリアにも大きく影響します。

「やりたいこと」を見つけるためには、まず自分の心に問いかけること。

そして、自分が最も大事にしているもの、すなわち「軸」を持つことが重要となります。

・そもそも人間は平等ではない

本人の責任とは関係なく、人は生まれつき不平等です。

例えば、親の経済格差によって子どもの教育格差が生まれるように、子どもにその責任はありません。

しかし、この不平等こそが自分の可能性につながるのです。

生まれつき、全ての人間は違います。先天的な特徴・後天的な環境など、一人一人異なるのです。

だからこそ、自分とは、他の誰でもない「自分」という存在なのです。

自分のユニークな特徴さえ認識できれば、一人一人が特別な価値を生む可能性がある。

自分にしかない特徴・強みが誰にでもあるはずです。

自分の過去や環境に悩む暇はありません。

自分が持って生まれたもの、自分がいる環境を最大限に生かすしかないのです。

・自分をマーケティングする

就職活動における面接の場においては、マーケティングの考え方が重要になります。

誰に伝えるのか(WHO)→何を伝えるのか(WHAT)→どう伝えるのか(HOW)の順番で考えるのが正しい。

多くの就活生は、面接官からどんな質問がくるか想定して、うまく答えられるように「話し方」を意識して本番に臨みます。

しかし、本番では思ったように話すことができない方が多いはずです。

とはいえ、問題は伝え方(HOW)のテクニック不足ではありません。

問題は話す内容(WHAT)の方に対して自分の思考を深める訓練が足りていないことです。

大事になるのは「自分自身をブランディングすること」。

自身のブランドを設計し、定義することで、自分の「ブランド設計図」を作る。

あとは、最も相手(面接官)に刺さりそうなものを選んで伝えるだけです。

このように、マーケティングの視点で自分をブランド化することで、格段と選ばれやすくなるのです。

・劣等感に襲われた時に

「会社の同僚や上司は優秀な人ばかり。それに比べて自分なんて、、、」

そんな劣等感を感じたことがある方も少なくないはずです。

劣等感に苛まれながら日々を過ごすのは、身体的にも精神的にも良くありません。

そこで、自分が潰れないために、やるべきことがあります。

それは、「今日の自分は昨日の自分よりどれだけ成長できたか」という意識を持つことです。

誰でも最初は新人です。だからこそ、できないことを悲観する必要はありません。

「自分は何もできない」ではなく「自分はこれから成長できる」という意識を持つこと。

この意識を持っておくことで、心を病むことなく、劣等感に潰されることなく、生きていゆくことができます。

・「不安」と向き合うには

成長の過程に「不安」はつきものです。

しかし、不安は決して悪いものではありません。

なぜならば、不安は「挑戦している証拠」だからです。

キャリアにおいて最も大切なのは、目的の方向に向かって、絶えず成長していくことです。

逆に、物事に挑戦しない人は不安を感じることはありません。

「挑戦しないから失敗しない自分」と「挑戦するから失敗する自分」

どちらの方が人間的に成長できるでしょうか?

「失敗しない人生」というのは一見、聞こえがいいかもしれません。

しかし、それは「何も挑戦しなかった人生」とも言えるのです。

そんな人生で満足できますか?

不安なことがあっても、それを「挑戦している証拠」と気づけたのならば、どんな不安も苦にならなくなるはずです。

実践ポイント

【自分自身のブランド「My Brand」を設定する】

就活や転職の面接の場において自身をアピールするためにも、自分自身をブランディングすることが重要になります。

ただ、自分のリソース(時間、体力、手間)は限られているため、闇雲にブランド化するのではありません。

ブランド化に必要なのは、以下の3項目です。

WHO:「誰に」買ってもらうのか

WHAT:「何を」買ってもらいのか

HOW:「どうやって」買ってもらうのか

自分にはどんな強みやスキルあり、それを誰に買って欲しいのかを明確にします。

そして、それを買ってもらうための手法を考えること。

これこそが自身の「ブランド化」であり、他者と圧倒的な違いを生み出すことができます。

感想・書評・学んだこと

本書は、国内屈指のマーケターである森岡毅さんが、自身の娘さんに向けて書いた原稿が元になっている本です。

文章も話し言葉で書かれているため、非常に柔らかく、読みやすい印象でした。

日本人の多くが、就活や転職などのキャリア形成に悩んでいます。

かくいう私自身も、自分の人生やキャリアに悩む時が何度もあります。

自己分析をしたり、資格やスキルを身につけようとしたこともあります。

しかし、何よりも私に欠けていたのは「マーケティングの視点」だという気づきを本書から得ました。

人気の商品にはマーケティングが大きく関わっています。

同じように、自分が「人気の商品」になるためにもマーケティングが必要になるのです。

どうしたら相手に選んでもらえる自分になれるのか、改めて考えさせられるきっかけになりました。

今後、自分がキャリアに悩む時には、何度も読み返していきたいと思います!

最高の名言

この世は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる!

家庭もコミュニティも環境も、人によって大きく異なります。

だからこそ人生は不平等です。

残酷な現実を突きつけられる場面に遭遇することもあるはずです。

しかし、自分を生かすのも殺すのも自分自身です。

多様な生き方が選べるようになった現代だからこそ、「自分の力で選べる人」が有利になります。

たった一度しかない人生を、あなた自身の手で選んでいくのです。

あなたはきっと、自分のキャリアを自身で選び、自分らしい人生を歩んでいくことができるはずです。

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