マインド・自己啓発

『「本当の自分」がわかる心理学』(シュテファニー・シュタール 著)あらすじ・要約・感想まとめ

内容紹介

「今の自分」は、幼少期の親との経験によって生み出されています。

「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、幼少期の親との関係で生み出された信念が、大人になってからの行動も左右します。これは誰しも心の中に子供の頃の自分と大人の自分が存在しているため起こることです。

本書では信念を「影子」と「日向子」として表します。信念とは「心を動かすシステム」です。

  • 「影子」
    幼少期に経験した辛い苦しいと感じたことから生み出されたネガティブな信念
  • 「日向子」
    客観的な視点で物事を判断できる論拠を持った大人の自分とポジティブな信念

上のような表現を用いながら、信念が生まれた背景や、その信念が生きる上でどのように影響しているかが語られます。

またネガティブな信念である「影子」を癒すことで、人間関係やパートナーシップの問題解決に繋がることに加え、その解決方法を提示。

本当の自分と、今の自分の変え方がわかる一冊です。

題名「本当の自分」を知る心理学〜全ての悩みを解決する鍵は自分の中にある〜
著者シュテファニー・シュタール
出版社大和書房
発行日2021/10/15
ページ数332ページ

こんな人にオススメ

•自分の本当に求めている生き方が分からない人

•新しい環境や人間関係を求めているけれど、過去に囚われなかなか一歩が踏み出せない人

•親子関係に悩んでいる人

著者紹介

シュテファニー・シュタール

心理学者、心理療法士。

心理学者、心理療法士、家庭裁判所鑑定人として約30年培った経験を元に、「人と繋がる不安」「自己肯定感」「内なる子供」などの書籍を執筆。莫大なカウンセリング経験、長年培った研究を元にドイツのみならず他国でセミナーも開催している。

『「本当の自分」を知る心理学〜すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある〜』要約

・「今の自分」を生み出したのは“子供時代の経験”

本書では幼少期(0歳〜6歳)に親との間で生じた経験により生み出された信念(心を動かすシステム)により起こる様々な人間関係や心理的な問題を、内面の癒しを通して解決する方法が書かれています。

人間は基本的に0歳〜6歳の間に育ての親との関わり合いを通して、自身や人間関係に対する考え方を習得します。

中でもその人が生きる上で必要な心の拠りどころとなるような「基本的信頼感」は、親から「守られている、受け入れられている、愛されている」という感覚から生まれます。

この「基本的信頼感」を幼少期の頃にしっかり得た人は大人になっても「自分は生きていて良い、生きているのは基本的に良いことだ。」という感覚を持ち続けることができます。

「基本的信頼感」は自分や他者を信頼することや信じることに繋がっているため、恋愛、結婚などのパートナーシップや様々な人間関係に大きく関わっています。

そしてそれは良い人間関係を築くことに繋がり、人生全般をより良いものにしていく重要な要素の一つであると著者は話します。

日向子と影子とは

基本的な信頼感に基づく「自分は生きていて良い、生きているのは基本的には良いことだ」という安心感、安定感を感じるようなポジティブな信念を「日向子」といいます。

一方、幼少期に親から十分な愛情を受けることができず(ネグレクト、虐待、別離などで)多くの不安や拒絶を感じたために「基本的信頼感」や「自己価値観」が育まれない経験をした方もいます。この場合、自分自身の中にしっかりした心の支えがないため大人になってからも周囲に対する不安感、不信感が拭えない感覚を持ち続けます。

こうした経験から生まれた信念を「影子」といいます。

この「影子」の信念は上司、パートナー、友人などが本当に自分を好ましく思っているのか疑心暗鬼にさせたり、なぜか常に不安に苛まれている感覚に陥らせます。

幼少期の経験から生まれた「影子」と「日向子」のような「内なる子供」がなぜ大人になってからも影響するのでしょうか。

・無意識が「今の自分」を操っている

著者は「無意識」が大きく関わっているといいます。

現在、無意識が私たちの行動、経験を80〜90%操っていると科学的に証明されています。

いくら年齢を重ねたり環境、状況が変わっても過去の自分と同じような行動、思考をするのは無意識が関係しています。
無意識に刷り込まれた「影子」と「日向子」のようなネガティブ、ポジティブな経験からなる「内なる子供」が現在の私たちの思考や行動、人生全般に関わっているからなのです。

そして、幼少期に経験したポジティブな刷り込みよりもネガティブな刷り込みの方が、大人になってから大きな影響を与えるといわれています。

・信念を通して現実を見るようになる

私たちは自らの「信念」を通して、物事を判断しています。

「信念」とは、端的に言うと「心を動かすシステム」のことです。著者は「現実を見るための眼鏡」ともいいます。

信念のうちネガティブな信念である「影子」が強く出てしまった一例をあげます。

自分のパートナーに「買い物のついでに好物のプリンを買ってきて欲しい」と伝えたにも関わらずパートナーがたまたまそのプリンを買い忘れてしまったとします。

その際、幼少期に親との関わり合いでできた「自分は雑に扱われている」「自分は重要でない、ないがしろにされている」というネガティブな信念を強く持った人は「自分は大切にされていない、雑に扱われている」というような信念をパートナーに投影してしまいます。

結果として、たまたまプリンを買い忘れてしまったパートナーに対し怒りをぶつけてしまうということがしばしば起こります。

しかしこのネガティブな信念(影子)は大人の自分(親から自立した現在の自分)の視点を使って癒すことができ、変えることができます。

また将来への不安や生きる意味を見出せない、喜びを感じられないなどの思いも「影子」により引き起こされていると著者は考えています。

ネガティブな信念を癒し、自己重要感、自己信頼感が取り戻されることにより、より自由に、本来の自分で生きることができるようになると著者は記しています。

人間関係で苦労してしまう、なぜか上手くいかないという人は、ネガティブな刷り込みを明るくポジティブなものに変えることで、それまで感じていた苦しみや不安を減らせます。
この転換は、大人になってからでも可能なのです。

実践ポイント

ネガティブな記憶や信念「影子」を癒すためにオススメの実践ポイント

①「心の支えとなる存在を感じる」

苦しい時、大変な時にいつも味方になってくれる存在を思い浮かべ、いつもその存在がそばにいてくれると想像します。実在する人物(すでに亡くなっていても可)や、小説や映画の登場人物などの架空の存在でも大丈夫です。

「大人の自分」を強くする

「影子」を癒すためには安定した強い「大人の自分」が必要です。

大人の自分は「ネガティブな信念は子供の頃にできた刷り込みによるもの」だと客観的に認識できます。理にかなった論拠に基づいた考え方ができる能力が備わっているのです。

例えば「自分はだめだ、価値がない」という考えがどうしても拭えない場合はなぜそう感じるのか考えることが大切です。

そして、それは過去に親との関係で刷り込まれたネガティブな信念であり、もう過ぎ去ったと認識することが大切です。

論拠の一例をあげると、子供の感情と欲求を理解するのが親の任務であり、親の感情、欲求を子供が理解し、満たす責任はないというものです。

こういった新しい信念を落とし込んでいきます。

③影子を受け入れる

「自分を受け入れること」がリラックスとさらなる成長の前提条件になると著者は話します。自分のポジティブな感情とネガティブな感情も自分の一部、それらの感情を持っていていいのだと受け入れるのです。

影子の信念はどうにでもなるものであり、かつなんの意味もなく、当然、あなたの実際の価値を決めるものでもまったくないということを、あなたが「大人の自分」を使って影子に理解させることが一番大切なのです。

と著者は語ります。

つまり影子の信念によってあなたの価値が決まる訳ではないということを、幼少期の自分に理解させるのです。

この方法の一つとして、「大人の自分」が「影子」に対し、好意的に親のような立場で接します。

弱虫で泣き虫な「影子」を感じるとどうしても許せない気持ちになってしまうこともあるかもしれませんが、そんな時は幼い子供が悲しんで不安になっているのを想像します。

そして優しく、難しければ心の中で呟くだけでも大丈夫なので話しかけてみます。

子供の頃に起こったことはどれも影子のせいではないというメッセージを、「大人の自分」が「幼少期の自分」に伝えてあげるのです。

感想・書評・学んだこと

これまでのような競争や年功序列等ピラミッド型の価値観から、次第に個人や個性を尊重した考え方に移行しつつある現在。

個として自立することが誰しも求められており、個として自立して生きるには、自分が何者であるかを知る必要があると思います。

そして自分が何者かを知る上で、まずありのままの自分を受け入れるということがとても大切なことだと感じます。

本書では過去を癒すことで他者から刷り込まれたイメージの自分ではなく、本来持って生まれた才能、能力や個性を活かして生きていける根本的な考え方やその方法が示されています。

また過去を癒すことで、過去の延長線上ではなく誰しも新たな生き方、価値観を創造することに繋がるはずです。

そうしたことを踏まえ、現在の混沌とした世の中を生きていく一助となるヒントが詰まった一冊だと感じました。

本書は自分が今の自分を変えたい、これまでと違う生き方をしたいと感じていた際に偶然出会った一冊でした。

これまでと違う生き方をするにはまず今の自分自身を認め、受け入れること。そして受け入れるにはどうしたらいいのかというヒントを得ることができました。

これまでの価値観から新たな価値観に移行し生きていくことが求められている現在、自分の必読書の一つになったと感じます。

最高の名言

影子へのメッセージを言葉で表現することではなく、あなた自身がメッセージの趣旨をきちんと理解することです。つまり、影子の信念はどうにでもなるものであり、かつなんの意味もなく、当然、あなたの実際の価値を決めるものでもまったくないということを、あなたが「大人の自分」を使って影子に理解させることが一番大切なのです。

私たちの生活で実際に問題となるテーマは、ほんの少ししかありません──結びつくか自己主張するか、コントロールするか信頼するか、快感か不快感か、そして自己価値感が高まるか傷つくか、です。

私は、自己価値感が他のすべてのテーマの根底にあると考えています。

自分の自由を守りながら他者とうまくつき合っていくための前提条件は、「自分自身の味方になること

子どものころから「他者からの要求に応える=自分の自由が奪われる」という経験を数多くしてきたため、結びつき欲求よりも自由欲求のほうが過度に高まってしまい、他者からの要求を拒絶したがるのです。

仕事とアクティビティは人を幸せな気持ちにさせるけれども、怠惰は人を悲しい気持ちにさせる

「今から始めるなんて遅過ぎないだろうか」と思う必要はありません。ある程度歳を重ねた人のほうが、子どもよりも学習方法をよく心得ているため、物事をスムーズに学べるのです。

私は、自己価値感が他のすべてのテーマの根底にあると考えています。

本書のサブタイトルである「全ての悩みを解決する鍵は自分の中にある」という言葉が、最終的に全てに繋がっているのではないかと感じました。

そして自己価値感を高めることで、他者からみてどうかではなく、自分はどうありたいのか、どうしたいのかということを大切にできるようになり、幸福度の高い生き方ができるようになると思いました。

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