内容紹介
「コミュニケーションの悩みはこの1冊で全て解決する。」
皆さんは人とのコミュニケーションの中で、上手く自分が思っていることが伝わらず、悩んだ経験はありませんか?
「人間の悩みは、すべて人間関係である。」
嫌われる勇気で有名な心理学者、アドラーはこのように述べました。それほど人間関係に関する悩みは尽きないものなのです。
これはつまり、人間関係に関する悩みを解決できれば人生の質が高まる、ということになります。
筆者はコミュニケーション研究家として約55年の人生を歩んできており、本著には筆者が試行錯誤を経て獲得した、コミュニケーションのノウハウが詰まっています。
コミュニケーションに関する悩みを解決し、人生を豊かにしたい!幸せになりたい!
という方の道標となる一冊です。
題名 | もう人間関係で悩まない!コミュニケーション大全 |
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著者 | 鴨頭嘉人 |
出版社 | 鴨ブックス |
発行日 | 2022/08/19 |
ページ数 | 334ページ |
言語 | 日本語 |
こんな人にオススメ
・話すことに対して苦手意識がある方
・コミュニケーションでよく誤解される方
・リーダーシップに悩んでいる方
・職場や友人の中に苦手な人がいる方
著者紹介
鴨頭嘉人
高校卒業後、東京に引越し19 歳で日本マクドナルド株式会社にアルバイトとして入社。23 歳で正社員になり、30 歳で店長に昇進する。
32 歳の時にはマクドナルド3,300 店舗中、お客様満足度日本一・従業員満足度日本一・セールス伸び率日本一を獲得し、最優秀店長として表彰される。
その後も最優秀コンサルタント・米国プレジデントアワード・米国サークルオブエクセレンスと国内のみならず、世界の全マクドナルド表彰を受けるなどの功績を残した。
2010 年に独立起業し、株式会社ハッピーマイレージカンパニー設立(現:株式会社東京カモガシラランド)。
現在は、YouTube総再生回数2億回以上の日本一の人気YouTube講演家として、人材育成・マネジメント・リーダーシップ・顧客満足・セールス獲得・話し方についての講演会や研修などを行い、全国的に熱い支持を得ている。
『もう人間関係で悩まない!コミュニケーション大全』要約
第1章:自分の土台
「おしゃべり上手」=「コミュニケーション上手」ではない!
第1章では、筆者の過去のエピソードが語られています。
筆者は昔から「お喋り」が上手であり、自身のコミュニケーション能力が高いと思っていました。そこからマクドナルドに入社し、売上成績を上げたことを認められ、店長に抜擢されます。
しかし、初めて受け持った店舗の状況は悲惨であり、どうにかしなければならないと燃えた筆者は、スタッフたちに対して厳しい指導を行いました。
結果、上手くスタッフたちに伝わらず、結果的に店内で孤立してしまいます。
そして異動を言い渡され、別の店舗へ移動しました。
そこで、コミュニケーションは言葉ではなく「想い」で伝わるものだと理解した筆者は、下記の3つの姿勢を大切にすることを決めます。
1.相手の話を聴く
2.自分の伝えたいことは、相手の話を聴いてから考える
3.心から相手のことを信じて、「君ならできるよ」と伝え続ける
このように、コミュニケーションの方法を180度変えることで、スタッフの成長や店舗の売上向上へつながったのです。そして、ついに日本一のお店になりました。
第2章:大躍進を支える力
第2章では、たった1人でマクドナルドから独立した筆者の「飛躍したコミュニケーション能力」について語られています。
筆者は独立後、キングコングの西野亮廣さんやホリエモンこと堀江貴文さんをはじめとする、数々の著名な方々と仕事をするようになりました。
一見すると、華々しい活躍をしている彼にも、多くの困難や挫折を乗り越えてきた過去があったのです。
筆者がマクドナルドを辞める決心をした裏には、世間から「サービス業」そのものが過小評価されている、という背景がありました。
さらに、サービス業全体を見て、自分の仕事に誇りを持てていない人が多いことを憂いた筆者は、
「世の中に、サービス業の価値を伝えたい」
「サービス業界で働く人たちに、自分の仕事の価値に気づいてもらいたい」
と考え、マクドナルドから独立しました。
自分の活動を知ってもらうために講演家として活動を始めますが、なかなか仕事の依頼がきません。
なぜなら自分がやりたいことを発信していたからです。
このままではいけないと思い、筆者は「相手の取れ高を設計」しながら熱い想いを語るようにしました。
すると、ハローワークから講演会の依頼がきて、その後もさまざまな仕事のチャンスを得ることができたのです。
そして、「振り子の法則」という言葉に出合いました。
【振り子の法則】
世の中の全ての物事は、振り子と同じように両極に振れている。
筆者はこの言葉こそがコミュニケーションの「核」になると確信し、ひたすら相手の言葉に耳を傾け続けます。
その結果、聴き手の表情や仕草、会場の雰囲気などからたくさんのメッセージが発せられていることに気づきました。
「講演とは、一対多のコミュニケーションである」
第3章:目指すべきは本当に優しい人
コミュニケーションは技術です。だから、コミュニケーションを学べば、人は変われるのです。
この章では、コミュニケーションの極意について語られています。
社会人の悩み第1位は「人間関係」であり、コミュニケーションはどの仕事をする際にも必要となるスキルです。
そして、コミュニケーションの悩みを解決するためには、技術を磨くよりも優しい気持ちになることが重要である、と筆者は述べています。
つまり、テクニックではなく心構えの方が大切なのです。
相手の立場に立って考えよう。丁寧に話すことは優しさである。
コミュニケーションを高める秘訣。それは「丁寧さ」。
筆者は家族やカード会社のお客様サポートとのやり取りを通して、コミュニケーションに大切な要素は「丁寧さである」と述べています。
相手の立場に立って相手が求めていることを考え、必要な情報を提供する。
言葉足らずでは優しくないコミュニケーションになってしまいます。
これを筆者はダメ・コミュニケーションと呼んでおり、主に下記の5つがあります。
1.聞き返されることがよくある
2.誤解されることがある
3.怪訝な表情をされることがある
4.相手が言葉を言い換えて確認してくる
5.相手が不足部分を埋めてくれる
では、具体的にどのような場合に言葉足らずとなってしまうのでしょうか?
筆者が下記の3つを挙げているので、それぞれ見ていきましょう。
①頭の中の主語が自分
②多様性に対して不寛容
③無意識の脳サボり
まず1つ目は「頭の中の主語が自分」です。
人間の脳は自分を主語に置きたがる性質を持っており、他者より自分の評価を甘くしがちです。
この無意識で行っている状態から有意識へと変わることが重要となります。
なので「頭の中の主語を相手」へと変えましょう。
もちろん最初はうまくいかないこともありますが、「今主語は自分と相手、どっちになっているだろう?」と考えるだけでも、コミュニケーションの取り方が大きく変化します。
ぜひ試してみてください。
2つ目は「多様性に対して不寛容」です。
よくコミュニケーションで誤解される人は、「多様性に対して不寛容」になっているかもしれません。
自分の考えだけに縛られてしまうと、思わぬ誤解を招くことがあります。
そこで、相手の表情をよく観察するようにしましょう。
口では「わかりました」と返答していても、怪訝な表情をしていたら正しく理解してもらえていない可能性が高いです。
なので「相手がわかっていなさそうだな」と思ったら、言葉を変えたり聞き返したりしてみましょう。
表情に着目しない限り、「きちんと伝わっているんだ」と自分だけで思い込んでしまうので、相手の表情を観察しながら丁寧にコミュニケーションを取ることが重要です。
3つ目の原因は「無意識の脳サボり」です。
先ほど出てきたダメ・コミュニケーションのうち、
「相手が言葉を言い換えて確認してくる」
「相手が不足部分を埋めてくれる」
という場面が多い方は、この「無意識の脳サボり」になっているかもしれません。
自分では良好なコミュニケーションが取れていると思っていても、実は相手が不足部分を埋めていたから成り立っている可能性が高いです。
これでは相手の優しさに頼っている状態なので、自分では気づけずコミュニケーションのレベルはいつまでも低いままになります。
なので、ここでも相手が「どういう返答・表情をしたか」を注意深く観察してみましょう。
無意識から有意識になることで、優しいコミュニケーションが取れるようになるはずです。
聴く力を身につける4つの方法〜信頼関係を築くために〜
情報不足によるトラブルを減らすために大切なのは、相手の話を「聴く」ことです。
ここでは聴くことの定義を「認知的に聴く」と「行動的に聴く」の2つに分けています。
そして、相手との信頼関係を構築するための聴く力を身につけるためには、
①最後まで聴く
②全身で相槌を打つ
③声にならない声を聴く
④全てを受け入れる
の4つが大切です。
①最後まで聴く
あなたは相手が喋っているときに、途中で会話の主導権を奪ってはいませんか?
この「会話のハイジャック」を行ってしまうと、本来のコミュニケーションの目的を見失ってしまいます。
要は「自分が話したい!」という欲求を満たしたいだけになる場合が多いのです。
よって、相手の話を聞く時は、相手の顔を見ることに意識を向けましょう。
相手がもっと話したそうなことに気づけたら、それは大きな成長です。
喋るより聴くことに注力した方が、コミュニケーションスキルは上がります。
②全身で相槌を打つ
「聴き力」を高めるためには「イケてる相槌」をすることが重要です。
名司会者であるタモリさんは、この「聴き力」だけで何百万人もの視聴者を楽しませてきました。
「この人の相槌いいな」と思う人を真似するところから始めてみましょう。
③声にならない声を聴く
声にならない声を聴けるようになるためには、「観察力」と「洞察力」が必要です。
観察力とは、「物事を客観的にかつ注意深く見ることができる力」です。
観察力を高めるためには、日常のどんな小さな出来事にも意識を向け、注意深く観察する訓練が必要になります。
一方で洞察力は、「観察では見えない物事の本質を直感的に見抜く力」です。
洞察力は観察力を持つことで磨かれていくので、観察力を用いて情報を集めないことには、洞察力を発揮できません。
そこで、まずは相手に関心を持ちましょう。
身近にいる人や、いい関係を築きたいなと思っている人を観察し、変化に気づいたらそれを言葉にしてみましょう。
そうすれば、相手もあなたに関心を寄せてくれるはずです。
④全てを受け入れる
聴く力を高めるための最後のポイントは、「全てを受け入れる」ことです。
人間関係の問題を引き起こす情報不足は、「アスームイノセンス」によって解決できます。
アスームイノセンスとは、相手に悪意がないことを前提に接することです。
相手に悪意がないことを前提にコミュニケーションを取ると、相手の全てを受け入れられるようになり、信頼関係の構築に繋がります。
全員の取れ高を設計する〜優しくなるための12の技術〜
ここでは、より具体的で今すぐ実践できる「優しくなるための12の技術」についてご紹介します。
1.自分の情報を先に伝える
→自分の情報を相手に渡す。
2.された質問は相手にも返す
→相手の「聞いてほしい」を意識する。
3.プレゼントを受け取る優しさ
→相手の気持ちを素直に受け取る。
4.言葉のチョイスを間違えない
→絶対的な正解の言葉はない。選んで使おう。
5.思いは伝わらない、を前提に話す
→思いをそのまま伝えない。言葉を選んで伝えよう。
6.本人も気づいていない美点を探す
→相手の「関心を持たれたい」を意識する。
7.言葉のプレゼントは何度でも
→喜びの賞味期限を意識する。相手の嬉しい気持ちを増やす努力をしよう。
8.積極的な言動を選ぶ
→積極的な行動には「リスク」が伴う。だからこそ積極的な人は優しい。
9.表情が先に届くことを意識する
→表情の後に言葉がくる。順番を理解しておこう。
10.必要な場面で言葉の意味を変えてみる
→ネガティブな言葉を解釈して「優しい言葉」に変えよう。
11.自我を捨てて役割を演じきる
→あえてイケてないフリをする。
12.理論で救えない状況を笑いで救う
→ときには身を投げてでも人を救いに行く。
詳しい内容については、ぜひ本書を手に取ってお読みください。
この中のどれか一つでもいいので、まずは実践してみましょう。
第4章:あなたの話には価値がある
本章では、大勢の人の前でスピーチするときの「10の極意」について語られています。
それぞれの極意についてご紹介していきます。
極意①準備が全て!原稿は必ず用意しろ!
お喋りとは「自分が話したいことを話す」こと。
スピーチとは「聴き手が聴きたいことを話す」こと。
自分が話したいことをただ話すだけでは、スピーチはうまくなりません。
スピーチ力を高めるためには「準備」が大切です。
何度も構成を練り直しながら、聴き手の想いに寄り添って準備に取り組む。
この作業を繰り返すことでスピーチ力は高まっていきます。
そして事前に用意する原稿としては、「フル原稿」と「トリガー原稿」の2種類です。
フル原稿は一般的な原稿のことで、トリガー原稿はスピーチに必要なキーワードだけを並べたメモ書きのことを指します。
フル原稿は5分以内のスピーチの際に、トリガー原稿は5分を超えるスピーチの際に準備しましょう。
トリガー原稿ではスピーチ内容をブロック分けし、頭の一文やテーマに関係するキーワードなど、「その言葉を目にしたら、後はスムーズに話ができる」という引き金(トリガー)を用意しておきます。
スピーチの醍醐味である「ライブ感」を出すためには、このトリガー原稿の用意がおすすめです。
極意②自分の状態を整えろ!
ここでは、筆者が講演家として活動する上で実際にやっている「自分の状態の整え方」について紹介されています。
・会場に入る前後に必ず挨拶をする
・邪念を取り払うためにトイレ掃除をする
もちろんこれ以外にも自分の状態を整える方法はたくさんあると思うので、それぞれ自分の状態を高める儀式を見つけましょう。
極意③緊張を味方につけろ!
日本人の約95%が人前でスピーチをすることに対し、苦手意識を持っています。
それは上手にスピーチをしている人も例外ではなく、蓋を開けてみたら実はかなりのあがり症だった、という場合もあるのです。
このケースからも分かるように、あがり症かどうかは自己評価であり、自分で決めているにすぎません。
「人前で話す前に緊張する」のは自分自身が本気になっている証拠なので、緊張をなくすのではなく、緊張とうまく付き合っていきましょう。
極意④場の空気を温めろ!
聴き手の心を動かす基本のスキルとして、「目線」があります。
聴き手と目線を合わせて「今あなたと話をしている」というメッセージを送ることで、聴き手の注意力が上がります。
ただし、ここで注意してほしいのは、自分から近い人だけに目を合わせることです。
これでは、自分から離れた席にいる人たちにとって面白くありません。
そこで、会場にいる一人一人と目線を合わせる意識を持ちましょう。
聴き手が受け取っているのは言葉だけではないことを忘れないようにしてください。
極意⑤聴き手を話に惹きつけろ!
・つい話が長くなってしまう
・聴き手の気持ちを理解できていない
・「頭」で考えながら話をしてしまう
スピーチの途中で聴き手が飽きる原因として、話し手が上記のような状態になっていることが考えられます。
話が長くなる要因としては、頭の中がきちんと整理されていないからです。
頭の中が整理されていないと、情報を補うために余計な言葉を付け足してしまうので、話が少しずつ本題から逸れていきます。
これでは聴き手も「結局何が言いたいんだ?」と感じてしまうでしょう。
だからこそ、話す前から伝えたいことを明確にしておくことが重要です。
加えて、聴き手の集中力は「3〜5分」と言われているので、1つの話題にかける時間を3〜5分に設定しましょう。
そして一番大切なのは話す内容が「実体験である」ことです。
本やセミナーなどで聞いた話では、自分の心にも相手の心にも残りません。
一方で、過去の経験をもとに話をすると話し手の心が震え、聴き手にも感動を与えます。
ぜひ心が揺さぶられるような生き方を目指していきましょう。
極意⑥聴き手が本当に求めている話をプレゼントしろ!
スピーチとは、聴き手の思考と行動が変わるようなプレゼントを渡すこと。話し手がただ話したいことを話すのがスピーチではないのです。
話し手の人生の中で衝撃的だった話をしても、聴き手はそれをどのように活かしていけば良いのかわかりません。
このように、聴き手の「聴き力」が問われるスピーチでは、聴き手全員にプレゼントを渡せなくなります。
そこで、聴き手が持ち帰りやすいようなサイズの話をプレゼントしてみましょう。
初デートで男性から100本のバラをもらったり、女性から手編みのマフラーをもらったりしたら、プレゼントが大きすぎて受け取る側も困ってしまいます。
よって、「普通サイズの話」を送るようにしてみてください。
日常の行動に変化を与える、小粒なプレゼントこそ喜ばれるプレゼントです。
そして、聴き手を感動させるスピーチをするためには、話し手自身が感動することが大切です。
人間には「共感性」という能力が備わっています。
人が感動している姿を見ると、それを見た人の共感性によって「感動がうつる」という現象が起きているのです。
聴き手が感動する話、面白いと思ってもらえる話をしたいのであれば、まずは自分自身が感情を大きく動かし、心を解放してみましょう。
極意⑦話のネタを枯らしてはいけない!
筆者はサービス業や接客業、金融業、運送業といった、さまざまな職種の人たちの前で講演をする機会が多くありました。
元々はマクドナルドで働いていたため、サービス業や接客業以外は未知の領域のはずですが、筆者は「想像力」によって思いを馳せることで理解を深めていたのです。
あらゆる業界のさまざまな仕事の価値を、そこで実際に働かなくても、想像できる力が僕には身についているのだと感じています。
聴き手の日常を想像する力は、練習によって誰でも身につけられる「スキル」です。
この力はスピーチの場面だけではなく、大切な人への思いやりや優しさを育む手助けをしてくれます。
極意⑧つまらない話から学べ!
人前で話す機会を作ることで、スピーチ力が磨かれていくのは言うまでもありませんが、プロでもない限りは人前で話す機会はそこまで多くないはずです。
ではどのようにすればスピーチ力は高まるのでしょうか?
それは「人の話を聞いているとき」です。
人の話を聞くことでスピーチ力は高まっていきますが、面白くない話を聞いているときは「どうしてこの話は面白くないのか?」と原因を分析します。
そして「自分だったらどう話すか?」を考えることで、自分のスピーチに活かすことができます。
ぜひ他の人のスピーチを聴いて学びを得てみてください。
極意⑨Q&Aの大原則3選
講演会でのQ&A(質疑応答)は、事前準備しているスピーチ原稿と違って用意ができません。
そのため、講師は不安や恐怖を抱えてしまうでしょう。
質の良い質疑応答にするには、まず質問者に敬意を払うことが重要です。
その上で、質問に対する回答のポイントは大きく分けて3つあります。
①ズレをなくせ
②一貫性を持て
③意図を汲み取れ
回答のポイント1つ目は「質問内容を取り違えない」ことです。
質問の意図を取り違えることで、講師の信用は一気に落ちてしまいます。
これでは、せっかくいい内容の講演をしたとしても、全て台無しになってしまいます。
そこで、受けた質問を講師自身が言葉にしてみましょう。
間違いがなければ、見当違いというリスクを回避でき、質問者とのコミュニケーションも深まります。
回答のポイント2つ目は「知ったかぶりをしないこと」です。
質問に対する明確な回答が思い浮かばない場合は、知ったかぶりをせずに「わからない」と素直に答えましょう。
知ったかぶりや浅い知識で回答してしまうと、今まで築いてきた信用を失いかねません。
そこで、正直に「私はその分野の専門家ではないので、わかりません」と答えましょう。反対に信頼を得ることもできます。
「わからない」と言える勇気と一貫性のある発言で、信用を積み重ねていくことが大切です。
回答のポイント3つ目は「質問者と知識で競わない」です。
もし、質問者の質問に答えられなかったとしても、
「質問者の質問の意図はどこにあるのか?」
これを考え、その場にいる人全員が「今日の講演会に参加してよかった」と思える空間を作り上げていくことが重要です。
具体的な事例に関しては本書の中に書かれているので、ぜひ読んでみてください。
あくまでQ&Aは「講師の日常における物事の捉え方、考え方」が試される場所なので、幅広い視点から回答できるよう、しっかり準備しておきましょう。
極意⑩プロとアマチュアの違いを知れ!
一般的に、プロは「お金をもらって話している人」、アマチュアは「お金をもらわずに話している人」と定義されています。
しかし、プロとアマチュアの違いは「お金」ではなく「役割の違い」です。
アマチュアのスピーカーは自分が話したいことを話しますが、プロのスピーカーは聴き手が聴きたいことを話します。
要は「聴き手を目的地に連れていくこと」と意義づけしている人をプロと呼ぶのです。
そして、相手がどんな人であろうとも、人前で話すときは「役割を演じ切る」ことが大切です。
自分より立場が上、年齢が上の人たちの前で話すのは、とても緊張することでしょう。
そんな時は「堂々と丁寧に話すこと」を意識してみてください。
自分を大きく見せようとか、へりくだることは一切せずに「とにかく全力で話し切る」ことに集中すべきです。聴き手を目的地に連れて行き、幸せにするという、超キレイ事にトライしていきましょう。
第5章:画面の中でも際立つ存在になる
第4章は「オフライン」のコミュニケーション技術についての話でした。
対して第5章では、オンラインでのコミュニケーションにフォーカスして話が展開されています。
オンラインでのコミュニケーションは、オフラインに比べて「表現力」が大切です。
なぜなら、オンラインではオフラインに比べて自分が話さない時間の方が長いからです。
ここで、筆者はオフラインでのコミュニケーションをドッジボール、オンラインを野球と例えています。
オンラインでは1人ずつ話をし、自分の打席が回ってきてから話をします。
つまり、自分が喋らない時間で勝負が決まってしまうのです。
これを「ノンバーバルコミュニケーション(言葉を使わないコミュニケーション)」といいます。
オンラインでのコミュニケーションを制するためには、ノンバーバル力を鍛える必要がある、ということです。
「ノンバーバル力」を鍛える3つのポイント
ノンバーバルコミュニケーションには下記の3つの要素があります。
①聴覚的要素
②視覚的要素
③身体感覚的要素
①聴覚的要素
オンラインでは対面に比べ、物理的な距離が存在します。
それに伴って心理的な距離も生じているので、相手も同様に不安感を抱いている場合が多いです。
よって、明るいトーンで話しかけると相手に安心感を与えることができます。
オンラインでは「2音」高い声で話すよう心がけてみましょう。
②視覚的要素
オンラインでは、固定されたモニター越しにコミュニケーションが展開されていくので、より視覚の重要性が増します。
だからこそ、オンラインでのコミュニケーションでは「笑顔」を意識しましょう。
話を聞きながら笑顔をプレゼントし続けると、いざ自分の番が回ってきた時に「この人の話を聞いてみたい」と思ってもらえるようになります。
オンラインでは常に自分の表情を確認できるので、常に笑顔を意識しながら臨みましょう。
③身体感覚的要素
身体的感覚要素とは、いわゆるボディランゲージのことです。
ボディランゲージでは、異なる環境や文化で育った人とのコミュニケーションに役立つだけでなく、年齢や職種のギャップを埋めることもできます。
ぜひ身近な人や、テレビ、YouTubeなどで活躍している人でも構わないので、コミュニケーション能力が高い人の身振り・手振りを真似してみてください。
第6章:技術に縋るな!土台が全て
第6章では、コミュニケーションにおける「マインド」の重要性について語られています。
コミュニケーションは「コンテンツ」と「デリバリー」という2つの要素で成り立っています。
コンテンツは「話の内容そのもの」です。
結婚式のスピーチであれば、スピーチの原稿そのものがコンテンツとなります。
一方で、デリバリーは「表現」です。声や身振り手振り、ホワイトボードやパワーポイントなどのツールを用いた表現方法もあります。
この2つを磨けば磨くほど、コミュニケーションの質が高まっていきます。
しかし、コンテンツとデリバリーの土台となるのは「マインド」です。
「誰のために、何のために伝えるのか?」
この土台がなければ、技術があっても相手に伝わりません。
よって、まずはマインドから学び、その後にコンテンツやデリバリーを学びましょう。
「ビジネスで成功したい」
「人間関係を良くしたい」
このように考えている人は、特にマインドから学ぶことをおすすめします。
話す力は聴く力!心の矢印、今どっち?
コミュニケーションスキルにおいて、最も大切なのは「聴く力」です。
相手の話を聴く前に自分の話ばかりしてしまったら、あなたの思いは伝わりません。
なので、まずは相手の話に耳を傾けてみましょう。
コミュニケーションにおいては、話を聴くのが先であることを忘れないようにしてください。
「心の矢印、今どっち?」
心の矢印とは、つまりマインド(考え方)のことです。心の矢印が自分に向いていると、自分のことしか考えられなくなります。
ぜひ心の矢印を相手に向けてみてください。それが相手を受け入れる第一歩です。
実践ポイント
心の矢印、今どっち?
コミュニケーションにおいて、一番大切なのは「聴く力」です。
自分のことばかり考えてコミュニケーションを取っていては、相手と信頼関係を築くことができません。
なので、その都度「心の矢印、今どっち?」と問いかけるようにしてみてください。
「あ、矢印が自分に向いている!」
そう思ったら、相手に矢印を向けてみましょう。
相手に興味関心を持つことが、相手を受け入れる大きな一歩になります。
自分は「優しくない」ことに気付く
コミュニケーションでは技術よりも「優しさ」が重要です。
「優しい気持ちになる」と口にするのは簡単ですが、本当の意味で優しくなれている人は少なくありません。
コミュニケーションがうまく取れていないと思うのであれば、あなたは優しくありません。
でも優しさを元にしたコミュニケーションを身につければ、あなたは必ず優しくなれます。
だからこそ、まずは「自分は優しくない」と自覚するところがスタートラインです。
感想・書評・学んだこと
自分は昔からコミュニケーションに対して苦手意識を持っていました。
特に中学から高校へ進学した際に、それまでと比べて環境がガラリと変わったことから、人と上手く付き合うことができませんでした。
勝手に壁を作って、人から逃げてしまったのです。
結果的に人からいじめられたり、孤立したりと上手くいかない3年間でした。
しかし、大学進学から今の仕事に就くまでを通して、「人との関わりなくして生きていけないんだな」ということを実感することになります。
だからこそ、本書の内容はすごく心に響きました。
特に「心の矢印、今どっち?」を意識するだけでも、コミュニケーションの取り方が大きく変わったのを痛感しています。
これからも色々な人と関わっていくので、本書の内容を通して学んだことを活かして、より良い人間関係を築いていこうと思いました。
最高の名言
「上手く話そうとすること、禁止!」
コミュニケーションにおいて、つい上手く相手に伝えようと考えがちでしたが、それでは自分本位なコミュニケーションになるのだなと考えさせられた名言です。
コミュニケーションは技術です。だから、コミュニケーションを学べば、人は変われるのです。
「コミュニケーションは元々ある才能なんだ」と思っていましたが、その考え方が覆された名言です。
コミュニケーションは技術なので、磨けば必ず上達していく。
未来に希望が生まれた言葉でした。