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『エフォートレス思考』(グレッグ・マキューン)あらすじ・要約・感想まとめ

内容紹介

40万部を突破した「エッセンシャル思考」の第2弾。

皆さんは「すごく努力しているのになかなか思うような成果が得られない…」といった経験をしたことはないでしょうか?

成果を得るためには努力をしなければならないと信じ、日々頑張っている方も多いと思います。そして成果が出なければ「まだまだ頑張りが足りない。」と躍起になることでしょう。

しかしこれでは脳や体が疲れてしまい、思うような成果を得ることができません。

そこで本著に出てくる「エフォートレス思考」という考え方が役に立ちます。

エフォートレス思考は「どのようにやるか?」を極める技術であり、いちばん重要なことをいちばん簡単な方法で取り組むことで、思い通りの成果が出せるようになります。

「無駄な努力を0%にして、成果を100%にする方法」

思うような成果が出せず、日々もがいている方にぜひ読んでいただきたい1冊です。

題名『エフォートレス思考』
著者グレッグ・マキューン
翻訳高橋璃子
出版社かんき出版
発行日2021/12/08
ページ数268ページ

こんな人にオススメ

・たくさん頑張っているのになかなか成果が出ない方

・目標に向かって努力しているのに上手くいかない方

・やる気はあるのに疲れるばかりで前に進めない方

・なるべく無駄な努力をなくしたい方

著者紹介

グレッグ・マキューン

McKeown Inc.のCEO。アドビ、アップル、グーグル、フェイスブック、ピクサーなど誰もが知る世界的に有名な大企業のコンサルティングを行う。

前著「エッセンシャル思考」は全米ベストセラーとなり、ニューヨーク・タイムズ紙やファスト・カンパニー紙にも掲載。

さらにハーバードビジネスレビューで最も人気のあるブロガーの1人であり、多くのメディアや雑誌に寄稿しポッドキャスターとしても高い人気を誇る。

世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された経験も持つ。

『書籍名』要約

3ステップで実践!エフォートレス思考とは

エッセンシャル思考は「何を」やるかを教えてくれる技術ですが、エフォートレス思考は「どのように」やるかを見極める技術です。

自分にとって重要なことを優先するエッセンシャル思考を用いれば、他のことをする余裕が生まれるはずでした。

しかし実際には重要なことが増えすぎるとリソースが足りなくなり、心身をすり減らしてしまいます。

そこでエフォートレス思考の出番です。

本書ではエフォートレス思考の3ステップを以下のように紹介しています。

STEP1:エフォートレスな精神
STEP2:エフォートレスな行動
STEP3:エフォートレスのしくみ化

STEP1「エフォートレスな精神」では頭の中の雑念などを取り除き、スペースを作るところから始めます。心身ともによく休めていて、余計な心配事がない状態でこそ「今」に集中できます。

STEP2「エフォートレスな行動」では完璧主義を捨て、取り組むことをシンプルにしていきます。エフォートレスな行動を身につければ、より少ない努力で成果を出せるようになります。

STEP3「エフォートレスのしくみ化」では直線的な成果と累積的な成果という考え方が登場。直線的な成果では努力した分の成果しか得られませんが、累積的な成果では利息が積み上がるように成果を増やすことができます。

それぞれについて詳しくみていきましょう。

STEP1:エフォートレスな精神

人の脳は処理能力が非常に高いスーパーコンピューターに似ています。最高な環境であれば高い処理能力を発揮しますが、不要な考えやネガティブな感情などがあると最高のパフォーマンスができません。

これは仕事でクタクタに疲れた時のことをイメージするとわかりやすいです。

疲れて家に帰っても家事をする気になれず、片付けなければならないタスクに取り掛かるのも気が重い。

しかし食事をとってゆっくりと湯船に浸かり、一晩ぐっすり休むとやる気に満ちた状態になります。このようにエフォートレスな精神を取り戻せば「今」に集中できます。

第1章:頑張れば成果が出るとは限らない

成果を焦って頑張りすぎた結果、目の前にあったはずの成功を逃してしまうケースは少なくありません。

そこで大切なのは「どうすればもっと楽になるだろう?」と考えることです。少ない労力で成果を出す方法を探すと、面倒な問題も意外と早く解決するかもしれません。

「楽をするのは悪いことだ」という思い込みを捨てよう。そうすれば、目の前に立ち込めていた霧が晴れる。そして、エフォートレスに日々を生きることが可能になるはずだ。

2章:「我慢」を「楽しい」に変える

やらなくてはならないのに、やる気がなくてつい後回しにしてしまった経験はありませんか?メールやメッセージの返信、仕事、皿洗いや掃除など、どれも楽しさを感じにくい作業ばかりです。

人は楽しいことを優先させるので、重要なことでも楽しくなければつい後回しにしてしまいます。

楽しさを感じないけれど重要なことにすすんで取り組むコツは、楽しさと結びつけることです。

例えば人への連絡が溜まっているときはお風呂に入りながら返信する、好きなBGMをかけながら食後の片付けや掃除をする、というようにやらなければならないことと好きを組み合わせることで、重要なことがいつの間にか片付きます。

いつかやってくる満足を、ずっと心待ちにする必要はない。楽しみは常に、今このときにある。退屈なタスクにちょっとした遊びを加えるだけで、タスクそのものが楽しみに変わるのだ。

第3章:頭の中の不用品を手放す

古くなった目標やこびりついて離れない考え方などが頭に残っていると、脳の容量を圧迫して脳の働きを邪魔することがあります。脳のスペースを空けて本来の働きを取り戻すために、余計な情報を取り除きましょう。

そのために大切なのが「不足思考から充足思考へ」という考え方です。

足りないものに目を向けると、今あるものが見えなくなる。今あるものに目を向ければ、足りないものが手に入る。

不足思考(後悔、妬み、将来への不安)から充足思考(順調である、恵まれている、将来が楽しみ)へとシフトすることで自分が持っているものに目が向き、存分に活用できます。そして心が満たされていきます。

ポジティブな気分が高まると視野が広がり、新しい可能性に目が向きやすくなるので、怒りや不満といったネガティブな感情を感謝や思いやりに変えていきましょう。

第4章:「休み」で脳をリセットする

肉体的・精神的に最高のパフォーマンスをするためには、活動と休息のメリハリをつけることが大切です。頑張ってもうまくいかない時はさらに力を入れるのではなく、中断して休めば心身ともに回復します。

特に睡眠は重要です。現代人は慢性的な睡眠不足に悩まされており、睡眠時間が確保できたとしても眠りが浅ければ結局パフォーマンスが下がってしまいます。

対策の一つは、昼寝をすることです。昼寝をすると脳の反応速度が上がり、パフォーマンスが向上します。

最初は罪悪感を感じるかもしれません。それでも毎日一定時間を昼寝に充てることで体が慣れていき、徐々に罪悪感なく眠ることができます。

睡眠時間をいくら削れるかという競争に意味はない。眠い体を酷使するのはやめて、自然のリズムに身をまかせよう。十分な睡眠時間をとれば、頭がクリアになり、エフォートレスな精神が戻ってくる。

第5章:今、この瞬間にフォーカスする

「見る」と「観察する」の間には大きな違いがあります。情報量が多い現代社会において、目の前のことに集中し続けるのはとても難しいです。そこで雑多な情報を無視して「見るべきものを見る」ことが重要となります。

エフォートレスな精神とは、大量の情報やノイズの中にありながら、今やるべきことに対する注意と集中を失わない状態だ。

無関係な情報に気を取られず、目の前の出来事や人に全力で向き合いましょう。

STEP2:エフォートレスな行動

スポーツでも仕事でも言えますが、力みすぎると思うような成果は出せません。「もっと頑張らなくては」と全力で取り組んでも疲れるばかりです。

あるポイントを超えると努力量は結果に結びつかなくなります。むしろパフォーマンスが下がって、心も体も燃え尽きてしまい逆効果です。

ここでは、エフォートレスな行動を身につけ、より少ない努力で成果を出す具体的な方法が示されています。

第6章:ゴールを明確にイメージする

ゴールが曖昧な状態だと仕事が難しくなります。なぜなら明確なゴールがなければ完成形がわからず、作業し続けるか諦めるしかありません。

そしてもう一つ注意が必要なのはゴールを修正しすぎないことです。時間と努力を無駄にしないためにも、完成にたどり着いたら潔く終了しましょう。

ただゴールを決めてもやるべきことはたくさんあるので、どれから取り組んで良いかわからなくなります。そこで著者は「今日の完了リスト」を提案しています。

最も重要で意味のあることをリストに入れ、完了したときにどんな気分になるか想像してみましょう。きっと達成感を感じながらゴールへ向かっていけるはずです。

第7章:はじめの一歩を身軽に踏み出す

ゴールを明確にしても最初の一歩が踏み出せなければ意味がありません。最初の一歩となる行動も決めておきましょう。

掃除ならまずはほうきを見つける、新製品を考えるならクラウドベースのドキュメントを開く、といったように最初の行動を決めておけば、徐々にやる気とエネルギーが高まっていきます。

重要な方向に一歩踏み出すと、ゴールにたどり着くのは容易になる。無駄な方向に一歩を踏み出すと、ゴールにたどり着くのは困難になる。「今」の使い方を変えれば、その後の行動は大きく変わる。

第8章:手順を限界まで減らす

完了するまでに必要最低限なステップは何か?

仕事やタスクを完了させるために限界まで手順を減らすことで、達成率が大きく上がります。ここでいう手順を減らすとは、決して手を抜いたり仕事の質を落としたりすることではありません。

価値のない余計なものを付け加えるのではなく、完成させることが重要です。必要以上の努力が重要な成果につながることはほとんどないので、やらないことを最大限に増やしつつ、最低限やるべきことを終わらせる意識を持ちましょう。

第9章:よい失敗を積み重ねる

失敗は怖いもの、傷つくものというイメージがあるので、誰もが避けようとします。そして失敗の影響が大きければ大きいほど、物事に取り組むハードルが高くなります。

そこで、まずは小さな失敗から積み重ねてみましょう。

どんな偉大な業績も最初から偉大だった訳ではありません。不完全さを受け入れ、ゴミを作る勇気を持てば始めることができます。

そうすれば、だんだんとマシなものが出来上がってくるはずです。

「間違いを犯して過ごす人生は、何もしないで過ごす人生よりも立派であるだけではなく、より有益である」

第10章:早く着くために、ゆっくり進む

重要なゴールへ向かうときに最初から全力疾走する人が多いです。しかしこれでは途中で燃え尽きてしまい、結果的に望んだ成果を得ることができません。

燃えるゴールに向かうからこそ、やることの上限を決めることが大切です。どんなに気分が乗っていても、自分が1日に取り組むと決めた量以上はやらないようにしましょう。

18冊ものベストセラー小説を書いたリサ・ジュエルは1日1000ワードを上限にし、自分のペースを守って執筆し続けています。

しかし人生には予期せぬ事態が突然降りかかってくることがあるので、上限だけ決めていては取り組めない日も出てくるでしょう。そこで下限を設定することが重要です。

下限はモチベーションを維持できる程度には高く、予想外のトラブルに見舞われても達成できる程度に設定しましょう。

STEP3:エフォートレスのしくみ化

ここでは「直線的な成果」「累積的な成果」という考え方が出てきます。

直線的な成果は努力と成果の比率が1:1で、累積的な成果は一度の努力が10にも100にもそれ以上にもなります。エフォートレスな行動で直線的な成果を得られたとしても、エフォートレスのしくみ化ができなければ累積的な成果を得られません。

この項目ではエフォートレスのしくみの設計方法を紹介しています。

第11章:一生モノの知識を身に付ける

たくさんの知識を得ることはとても大切です。しかし最も肝心なのは知識をどう結びつけるか?です。分野を超えた知識を持っているからこそ、組み合わせることで新しいアイデアが生まれます。

特に読書は1日の労働時間と同じくらいの費用で賢い人々の知見や知恵に触れられる活動です。しっかり自分の血肉にすれば、より累積的な成果を得られるでしょう。

読書は、この世で最もレバレッジの高い活動だ。

第12章:いちばんシンプルに伝える

理解を深めるためには人に説明するのが一番です。人に教えることで本当の意味で理解が深まります。

しかし全部を教えようとするのは大変ですし、反対に何も教えられなくなる可能性が出てきます。

そこで重要なメッセージを明確にし、シンプルにまとめて多くの人に伝えるようにしましょう。誰が伝えても同じように伝わる状態ができれば、成果を積み上げることができます。

第13章:勝手に回る「しくみ」を作る

人は決断をするたびにエネルギーを使います。小さな決断が積み重なると負担が大きくなるので、大きな決断によって小さな決断を減らす視点が大切です。

重要なことはハイテク化し、不要なことはローテク化する。

では日々の生活で決断を減らしていくにはどうすれば良いでしょうか?

そのためには重要なタスクを自動化することに努力を費やしましょう。

例えば健康管理であれば毎年行う健康診断を自動で予約する、お金であれば給料の一部を毎月自動的に貯金する、家庭のことであれば生活必需品を定期購入する、というように最初の決断や準備に労力をかけると、後から楽な状態が作れます。

第14章:不信のコストを削減する

他人と一緒に仕事をする上で大切なのは信頼です。信頼があれば仕事の分担や情報共有、素早い意思決定などができて、スムーズに仕事を進めることができます。

投資家ウォーレン・バフェットは従業員やビジネスパートナーを選ぶ際に、信頼を図る3つの基準を設けています。

それが「誠実さ」「知性」「自発性」です。特に誠実さがなければ他の2つが裏目に出てしまうので、人を選ぶ時の基準として活用すれば、信頼できる人と出会いやすくなります。

第15章:問題が起こる前に解決する

人は問題と対面した時につい楽をします。問題そのものと向き合わずにごまかし、その場しのぎの対応をしてしまいます。

しかしこれでは根本的な解決になりません。そこで「根本的な問題は何なのか?」を考え、解決するまでの時間と得られる結果を自分に問いかけてみましょう。

これができれば、一度の労力でその後付きまとう問題に悩まされずに済みます。

実践ポイント

エフォートレス思考は努力を最小化して成果を最大化する思考法です。

特に大切なのは「やらないこと」「できないこと」を決め、「シンプルで簡単なこと」「自分でコントロールできること」に集中することです。

何を選択するかで人生は大きく変わってきます。いつまで続くかわからない人生のなかで、燃え尽きることなく進み続けるためによりシンプルで簡単な道を選びましょう。

同じく頑張りすぎないことも重要です。

努力すれば成果が得られると信じ、無理に頑張りすぎると失敗につながります。もちろん努力するのは悪いことではありませんが、別のやり方があることを知らなければ、ただただ疲弊するだけです。

「どうすればもっと楽にできるか?」

この考え方をもとにやり方を見直すことで、意外と簡単に成果を出せることに気付くはずです。

ぜひ活用してみてください。

感想・書評・学んだこと

エッセンシャル思考では、重要なことを見極め集中して取り組んでいく方法が書かれていました。一方エフォートレス思考では「いかに労力を少なくして最大の成果を得られるか?」について書かれています。

自分自身の経験として、やるべきことややりたいことがたくさんあり、優先度がわからず疲弊していた時期がありました。しかし「どうすればもっと楽にできるか?」を考えることで、かなり楽にタスクをこなせるようになりました。

他にも第2章『「我慢」を「楽しい」に変える』で紹介されていた、タスクと楽しいこと(好きな音楽)を組み合わせる方法は実生活のなかで役立っています。

このように日常生活や仕事で活かせる内容ばかりだったので、もっと詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。

最高の名言

嫌なことを我慢するより、楽しくできるやり方を探した方がいい。

嫌なことはモチベーションが上がらずつい後回しにしてしまいますが、「どうすれば楽しくできるか?」という工夫が大事であることを教えてくれました。

リラックスも、仕事のうちだ。

休むことも仕事であることを教えてくれる名言。休むことへの罪悪感がなくなりました。

知識はチャンスの扉を開いてくれる。自分だけのユニークな知識は、永続的なチャンスを与えてくれる。

知識は可能性を広げ、自分だけが持っている知識はさまざまなチャンスを与えてくれる。知識の重要性を再確認できた名言でした。

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