内容紹介
ザッポスは1999年にトニー・シェイらからの出資を受けて創業されたオンライン小売会社です。
2009年11月にはアマゾン・ドットコムに12億円で買収されるまでに成長を遂げました。
オンライン小売業で今では、当たり前になっている返品や交換などのサービスをいち早く取りいれ、それが当たり前という文化を築いた会社といっても良いほど、圧倒的に顧客満足度を意識した経営方針は高く評価されています。
本書では、この会社のCEOであるトニー・シェイがザッポスの立ち上げに関わり、CEOとしてアマゾンを震撼させるほどのサービスを作り上げるまでの軌跡を辿り、最高に喜ばせる経営やサービスとはなにかということを学ぶことができます。
題名 | 顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説 ―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか |
著者 | トニーシェイ 監修・和訳(本荘修二・豊田早苗) |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発行日 | 2010年12月2日 |
ページ数 | 412ページ |
こんな人におすすめ
- 顧客満足度を高める経営とはなにか知りたい人
- 働きたいと思わせる会社作りが知りたい人
- アマゾンを震撼させたサービスの歴史が知りたい人
- 自分の会社の経営方針に悩んでいる人
著者紹介
トニー・シェイ
トニー・シェイはアメリカ生まれの実業家。
オンライン靴店ザッポスの創業者でCEO。
ハーバード大学でコンピュータ・サイエンスを学びオラクルに入社。
オラクル在職中にもリンクエクスチェンジというインターネット広告会社を共同で設立し、1999年にはマイクロソフトに2億6500万ドルで売却しており投資家としても活躍する。
マイクロソフトに売却後に、ザッポスに投資家として関わり、後にザッポスのCEOとして活躍。
ザッポスを売上高10億ドルを超える企業に成長させた。
『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』要約
幼少期からビジネスをしていた
この本は、トニー・シェイ自身の人生を振り返るところから話が始まります。
幼い頃から、自分でなにかを作っては販売したりと大人顔負けの優秀さを持ち合わせていたトニー・シェイ。
小学校の頃には、ガレージで不用品販売をして、一緒にレモネードを販売します。
一緒にいた友達には5歳ほど幼く見えるような格好をしてレモネードを販売します。
物は買ってもらえなくても、レモネードは買ってもらえるかも知れないと考えたからです。結局、ガレージ・セールの品物よりも、レモネードの方がよく売れました。
小学生でこういった考えを持つ時点で、頭の回転が早かったのだろうと思います。
また、中学生時代には、子供向け雑誌の後ろに掲載されている広告ビジネスに興味を持ちます。
そこで思いついたのが写真をバッチにして販売するビジネスです。
このサービスを掲載してくれそうな出版社に自ら手紙を出し、結果として雑誌に掲載されることになります。
バッチ製造ビジネスのおかげで中学時代には毎月二○○ドルが安定的に入ってきました。ここで学んだ大きいなことは、全く顔を合わせることのない通信販売でも、ビジネスはうまくいくことでした。
うまくいくこともあればうまくいかないこともある
社会人になったトニー・シェイはソフトウェアの大企業であるオラクルに入社できるほど優秀な人材になっていました。
しかし、オラクルに入社した彼に与えられた仕事は技術面での品質保証やプログラム変更時に誤作動かないかどうかの検査を行う仕事がメインでした。
給料は高いけれど、刺激がない日々を送るトニー・シェイ同僚のサンジェイと共にはサイドビジネスを始めることにします。
サイドビジネスが当時はまだ珍しかったWebサイトの制作・デザインの仕事で、最終的には中小企業のショッピングモールサイトのデザイン・運営・ホスティングなどの契約を結び2000ドルほどの売上を立てることに成功します。
この達成感のまま、自ら企業することを決意します。
オラクルにいるよりもずっと手に入るお金は減りました。
私たちはみずからの事業を営み、自分の運命を自分でコントロールしたかったのです。大切なのはお金ではなく退屈しないことだったのです。
どれだけお金をもらえても退屈しない人生をトニー・シェイは選びます。
決意を決めたクルージング
独立後に新たな事業として立ち上げたインターネット広告業会社『リンクエクスチェンジ』が瞬く間に売上を伸ばし、気づけばマイクロソフトに2億6500万ドルで売却を果たします。
大金を手に入れたトニー・シェイはクルージングパーティを開きます。
生活に困ることのない大金を手に入れ、すべてを手に入れたはずですが心の中でこう思います。
今からどうする?次は何をする?
そしてさらに
成功とは何だ?幸せとは何だ?何を目指して頑張っているのか?
こうした、凄腕の経営者でも日々悩み葛藤していく様は、人間味を感じて、共感できる部分もあるので、人の人生を知る感覚で読めるのでとても面白いですよ。
ザッポスとの出会い
大金を手に入れたトニー・シェイは投資ファンドを設立します。
投資先の1つが最終的にザッポスとなるシューズサイトでした。
アマゾンのオンライン靴屋版を作ろうとしていた会社に投資したのです。
しかし、軌道に乗るまでは赤字が続いてしまします。
ザッポスを立て直すため、ザッポス社員全員にメールを送り現状報告や改善点などを聞き出します。
こうした社員一人一人の意見を取り柄れ、問題解決に望むことで信頼を獲得していくトニーシェイ。
彼の働きかけで多くの社員が意見を述べ、実行に移していき会社全体の指揮を上げていきます。
結果として売上も向上、働きやすい職場環境を提供することにも成功していき、2009年には『最も働きがいのある企業100社』にも選ばれるまでに成長します。
実践ポイント
この本から学べることの中で、最も学ぶ要素の多い部分としては、やはり『顧客に最高の体験を提供する』ということだと思います。
ビジネスをする上で売上を上げることは当然ですが、いかに顧客に満足感を与えリピートしてもらうかはさらに重要だと言えます。
こうしたザッポスの顧客を感動されることを念頭においたビジネスモデルは非常に参考になると思います。
そして、『顧客満足を上げるためには、社員も幸せでなくてはならない』という企業文化があります。
経営者や人事の方には特に、読んでいただき、働く全ての人への接し方や配慮など参考になる部分は多いと思います。
また、この本の後半で『ハピネスフレームワーク』という幸せの届け方を、マーケティングも交えながら解説されている部分は是非実践していただきたいポイントです。
感想・書評・学んだこと
この本は、トニー・シェイという一人の人物がザッポスのというオンライン靴屋を成功に導き、アマゾンに売却するまでが語られたストーリーです。
優秀な経営者の子供時代の話から大人になるまでの歴史を知ることができるので、ビジネスを小難しく考えるのはなく、楽しさを伝えてくれる印象を持ちました。
内容自体もトニー・シェイ本人がライターを使わず書いているものなので、事細かに書かれています。
失敗した話も含まれているのかよりリアルに感じられますね。
幼少期の好奇心旺盛な物語からザッポスが立ち上がってからの苦悩、そしてアマゾンへ売却するまでに評価された会社作りなど、どの話も非常に面白いです。
また、「社員は家族」という言葉を本当の意味で実現できるほど、働く人たちへ最高の配慮が整った会社作りは、そこまでしてあげるのかと驚く程の内容なので是非読んで頂きたいです。
最高の名言
ザッポスのミッション・コアバリュー
①サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
②変化を受け入れ変化を推進する
③楽しさとちょっと変なものを創造する
④冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
⑤成長と学びを追求する
⑥コミュニケーションよりオープンで誠実な人間関係を築く
⑦ポジティブなチームとファミリー精神を築く
⑧より少ないものからより多くの成果を
⑨情熱と強い意思を持て
⑩謙虚であれ