1.内容紹介
「上手にコミュニケーションが取れず、良い人間関係が築けない…」
「上手く話せず、自分の想いを相手に伝えられない…」
このように人間関係に関する悩みを抱えている方は多いはずです。
心理学者のアドラーが「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と提言しているように、人間関係の悩みはもはや永遠のテーマと言えます。
特にコミュニケーションに対して、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?
苦手を克服しようと話し方の本を購入する方もいますが、それではコミュニケーション能力は身につきません。
コミュニケーションで大切なのは、適切な言葉の使い方ではなく「適切な印象の与え方」なのです。
この本は洗脳スキルや印象操作といった一見怪しい心理技術を用いて、コミュニケーション能力を高めることができる1冊です。
題名 | 『思い通りに人を動かすヤバい話し方』 |
著者 | Dr.ヒロ |
出版年月日 | 2021/06/28 |
出版社 | フォレスト出版 |
ページ数 | 270ページ |
2.こんな人にオススメ
・話が下手でコミュニケーションに苦手意識がある方
・人前で話す時に緊張してうまく話せない方
・人から好かれ、信頼されるようになりたい方
・異性からモテたい方
3.著者紹介
Dr.ヒロ
洗脳系YouTuberとして「Dr.ヒロの実験室」を運営している。
早稲田大学政治経済学部4年の頃に「経済セミナーがある」と言われ、マルチ商法の勧誘を受け、以来6年間どっぷりハマる。
そこでセールスや洗脳のノウハウを実践し、4年目でトップセールスへ。
月収も7桁を突破し、以降トップセールスを維持し続け年収も8桁を達成する。
しかしマルチ商法引退後は一転して貧乏に。破産寸前の中YouTubeを始め、マルチ商法や洗脳の情報について発信。
SNSフォロワー0人の中から約1年半でチャンネル登録13万人を突破。現在は音声アプリVoicyでパーソナリティを務めている。
4.「思い通りに人を動かすヤバい話し方」要約
第1章:『人を動かす』を読んでも人を動かせないあなたへ
第1章では、話し方に関する不都合な真実について触れられています。それは「コミュニケーションに関する本を読んでも、コミュニケーションは上達しない」です。
多くのコミュニケーション本には話し方の上達方法が書かれていますが、大切なのは適切な印象の与え方です。相手に与える印象を操作することで、コミュニケーションがより円滑になります。
そのために重要となるのが『洗脳』です。本書での洗脳の定義は、相手を自分の動かしたい方向へ動かすこととしています。
そして上手い話し方を「洗脳力のある話し方」と表現しており、これが人の心を動かすために重要とします。
第2章:「洗脳力のある話し方」の秘密
第2章では、洗脳力のある話し方を身につけるコツについて語られています。結論から伝えると、洗脳において一番重要なのはポジショニングです。
これは「どんなポジション(立場)を取るか?」であり、相手に「この人から話を聞きたい!」と思わせることが、最重要ポイントになります。
ポジショニングを取るために、まずは形から入ることを意識しましょう。
うまい話し方は「話す前」に決まる
ここで出てくるのがメラビアンの法則です。メラビアンの法則とは、人の印象に占める割合が下記の3つに分かれていることを示しています。
・視覚情報:55%
・聴覚情報:38%
・言語情報:7%
このように、人の印象の約9割が見た目や声などの情報で決まる、ということです。フレーズで人の心は動かないので、コミュニケーションが上手になりたければ、視覚情報と聴覚情報に注目しましょう。
視覚情報と聴覚情報の重要性については、「ブサイクでも雰囲気イケメンになれる」という事例で解説しているので、詳しくは本書をご参照ください。
ここで伝えたいことは、見た目を整えたり、立ち居振る舞いを意識したりするだけで、ポジショニングが取りやすくなるということです。
コミュニケーション能力は「場所選び」で測れる
またポジショニングを語る上で、見た目や振る舞いと同じくらい大切なポイントがあります。それが場所選びです。
例えばゲームにおいて、キャラクターが得意なフィールドで戦うと能力が上がるように、環境に応じてパフォーマンスが変わります。
現実世界で例えると、ファストフード店や低価格帯のファミリーレストランで聞くビジネスの話と、ホテルのラウンジで聞くビジネスの話とでは、どちらの方がより魅力的に感じるでしょうか?
間違いなく後者と答える人が多いはずです。
このように場所を上手く活用することで、ポジショニングを取りやすくなります。
第3章:相手に好かれる「話し方」の極意
最初に売るべきものは「媚」
人に好かれる一番のコツは、全員に媚を売ることです。
「媚びを売ったら逆に嫌われてしまうのでは?」
こう思う方もいると思いますが、心配する必要はありません。よほど媚びの売り方が下手でなければ、逆に相手から好かれます。
なので相手のことを積極的に褒めていきましょう。
「根も葉もないお世辞」は正論より100倍も効く
相手を褒める時に大切なのは、見た目ではなく内面を褒めることです。そうすることで相手は気持ちよくなり、自尊心が満たされていきます。
相手から好かれていれば、自分の話がつまらなかったとしても、受け入れてもらいやすいです。
お世辞でもいいから相手を褒めようとし続けると、自然と人のいいところを見つけることに意識が向きます。
お世辞は相手を騙すものではなく、相手に喜んでもらうためのおもてなしです。
ここでひとつ、筆者がおすすめする極意をご紹介しましょう。
それは共感逆マウンティングです。簡単に言うと、共感しつつ相手にマウントを取らせることです。
共感逆マウンティングでは、相手が興味のあることについて「これだけを知っている」と伝えた方が、親近感を抱いてもらいやすくなります。
相手の趣味を知っていることを伝えて、自分もやってみたけどあなたに比べたらまだまだだから教えてほしいと伝えるのです。
第4章:思い通りに人を操る「伝え方」の極意
第4章では、話の伝え方を中心に語られています。
話を一瞬でわかりやすくする「魔法の言葉」
手軽に使えてなおかつ、誰が使っても圧倒的な効果をもつ言葉がこちらです。
「わかりやすく言うと、〇〇みたいなものです。」
このフレーズを使うと、相手は「わかりやすいならちゃんと理解しなくては!」と考えてしまいます。例え正しく理解できなかったとしても、このフレーズを聞いた人は無意識的に「理解した!」と思い込んでしまうのです。
この言葉に加えて、「なんとなくわかりましたか?」と付け加えることで、相手はより理解しようと努めます。多くの人は自尊心を傷つけたくないので、「なんとなくすらわかりません。」とは言えません。
心理ブロックをすり抜ける魔法の言い方
他にも伝え方の極意やテクニックとしていくつか紹介されていますが、特に強力なのは「断定を避けて幅を持たせる」です。
これは断定されると逆らいたくなる、という人の習性を活用しています。
例えば「あなたは今いる会社をやめた方がいい。」と断定されてしまうと、「君に私の何がわかる!」と反発したくなります。
そこで「あなたは今いる会社をやめた方がいいのかもしれない…」と含みのある表現を使うと、「え、やっぱりそうなのかな…」と考えてしまうものです。
含みを持たせた表現は話す側のリスク回避にも繋がるので、ぜひ活用してみてください。
第5章:会話の達人になる「聞き方」の極意
今までの章では「話し方」に着目してきましたが、この章では「聞き方」に焦点を当てています。
「聞く能力」があなたを会話上手にする
聞く能力の高さは会話上手に関係しており、話す練習よりも聞く練習の方が重要です。ここで意識してほしいのが、「人の話を聞く時は、世界一面白い話を聞いているつもりで聞く」ことです。
この意識を持つことで、実際に相手の話を面白く感じ、話す側もより気分が乗ってパフォーマンスが向上します。
そして会話を聞く時に重要なテクニックは
- 頷く
→なるべく頷きを大きくして、適切なタイミングを意識して行う - 相槌を打つ
→棒読みではなく、感情を伝える意識を持つ - 眉毛を動かす
→眉毛を少し上げるだけで、感情を伝えられる
の3つです。
加えて相手の話を否定しないことも大切です。
「それは違います。」といった否定表現は相手を傷つけるので、一度相手の話を受け止めるようにしましょう。
第6章:話し方を上達させる極意
第6章では話し上手になる4つのアクションや、動じないメンタルになる方法についてご紹介しています。
言葉よりボディランゲージの方が伝わる
話し上手になるためには、ボディランゲージ(身振りや表情など)を活用しましょう。
例えば腕を上下に動かす、横に動かす、円を描く、止めるといったアクションを組み合わせることで、相手に与える印象や、影響力は大きく変わってきます。
また姿勢や表情も重要です。背もたれを活用して楽な姿勢を取りつつ、リラックスして自然体になることも大切です。
変に背筋をピンと張ると不自然な姿勢になり、疲れたりぎこちない姿勢になったりします。
表情に関しては、眉と口角を意識しましょう。口角を上げた状態で接することで、相手に良い印象を与えられます。これは対面だけでなく、顔が見えない電話の場合も同様です。
しかし、話をするときだけ口角を上げていては「自分が話すことにしか興味がない人だな。」といった印象を与えてしまいます。
なので、話をする時も聞く時も口角を上げる意識を持ちましょう。
動じないメンタルになる方法
上手に話すためには、自分自身がリラックスしている必要があります。上手く話そうとすると緊張しますが、緊張しないよう自分に言い聞かせるのもかえって緊張するものです。
そこで、動じないメンタルの作り方として、以下の3つが紹介されています。
- リラックスした姿勢を取る
- 深い呼吸をする
- ゆっくり大きく動く
特に②はすぐ行動に移しやすく、呼吸を整えることでリラックスできます。緊張するとどうしても早口になったり、呼吸が浅くなったりするので、深い呼吸を意識していきましょう。
第7章:悪用厳禁!強力すぎる心理効果
第7章では、コミュニケーションがある程度上手になったという前提の元、さらに高みにのぼるための方法について語られています。
その中でも、本当に使える心理効果を5つに厳選してご紹介します。
心理効果1:会話で気持ちよくさせる「ペーシング」
ペーシングとは、話すスピード・テンポ感、声のトーン・大きさなどを寄せて、相手との親近感を高める技術です。
会話の主導権を握るために少しだけ大きな声で話したり、少しずつテンポを上げたりして、会話の主導権を握ることもできます。
心理効果2:営業・セールスで使える「アンカリング効果」
アンカリング効果とは、最初に提示された数字や条件が基準となり、その後の判断に影響することです。価値を感じているものによって、何をアンカーにするのかを決めましょう。
例えば100万円する化粧品セットを販売する際に、そのままでは値段が高額なので、その人が100万円払うほど価値を感じているものは何か?を探します。
ここで重要なのは、相手に想像させることです。一度手に入った場面を想像することで、欲しい気持ちが強化されていきます。
心理効果3:全部揃えたくなる心理「ディドロ効果」
ディドロ効果とは、ひとつ良いものを買ってしまうと、それに合わせて他にも色々な商品を購入してしまうことです。
例えば高級な洋服をもらったら、その洋服に合うように部屋を綺麗に片付けていきます。
心理効果4:思考力を低下させる「希少性の原理」
人は時間的なプレッシャーを感じると、驚くほど冷静な判断ができなくなる生き物です。
「今購入しないとお得な特典がもらえなくなる!」といった煽り文句は、顧客の思考力を奪う効果があるので、自分が使われる立場になった時は十分注意してください。
心理効果5:印象を自在に操る「リフレーミング」
リフレーミングとは、ひとつの物事について違った視点を持たせることです。
言い方を変えるだけで印象を大きく変化させるので、見ている人にどの角度から見せるかは、あなたの言葉ひとつに左右されます。
5.実践ポイント
最初に売るべきものは「媚」
コミュニケーションにおいて、相手との信頼関係構築はすごく重要です。そのためには相手の自尊心を満たすような話題を提供し、信頼度を高める必要があります。
そこで媚を売りましょう。
褒められて嫌がる人はおらず、褒め方が壊滅的に下手だったとしても、褒めてくれた相手に対して心を開くようになります。
コツとしては「全員に媚を売ること」です。相手の見た目ではなく、内面を褒めて相手との信頼関係を築いていきましょう。
人の話を聞く時は、世界一面白い話を聞いているつもりで聞く
人の話を聞く時は、全力で聞くようにしましょう。そして世界一面白い話を聞いているつもりで聞いてください。
これは実際にやってみると、相手の話を面白く感じることができます。加えて相手も気分が乗ってくるので、お互いにとって楽しい時間になります。
反対に「つまらない」と思って聞いていたら、本当に面白くなくなるので、注意してください。
このように聞き手次第で話の面白さが変わるので、全力で楽しむ姿勢で相手の話を聞きましょう。
6.感想、書評、学んだこと
実は私も筆者と同じで、元々マルチ商法(ネットワークビジネス)をしていました。
筆者ほど結果が出ていた訳ではありませんが、特に色々な方と関わる仕事だったので、コミュニケーションに関する悩みが尽きなかったことを覚えています。
本書にある教えの一部は、以前アップ(紹介者)やリーダーから教わっていたものだったので、当時を思い出しながら読みました。
この本には心理学に基づいたコミュニケーション術について書かれており、洗脳という言い方をしていますが、人を動かすコツがたくさん書かれている名著です。
ほとんどの仕事はコミュニケーションなしでは成り立ちません。
もちろんプライベートの人間関係もコミュニケーションです。仕事やプライベートの人間関係、コミュニケーションで悩んでいる方にはおすすめの一冊です。
7.名言
思ったことをそのまま口に出すと嫌われます。思ってもない褒め言葉を口に出すと好かれます。
お世辞や媚を売ることに対する抵抗感が強い方も多いですが、相手を喜ばせるための嘘なのであれば、むしろたくさん言った方が良いのでは?と考えさせられる言葉です。
ブサイクは、生まれつきじゃない。その人のマインドが作り上げている。
どんなに見た目が良くない方であっても、「努力次第で相手に与える印象は変えられる」と筆者は述べています。
「自分はブサイクだから…」と卑屈になっていては、いつまでもブサイクのままです。努力次第で物事は良い方向へ進むことを表現している言葉です。