内容紹介
本書は、国内で200万部以上、世界で450万部以上の売り上げを誇る大ベストセラーです。
フロイト、ユングと並び「心理学の三代巨頭」と称される心理学者の、アルフレッド・アドラーの思想が詰め込まれています。
どんな人も生きている限り、絶えず悩みに直面するはずです。
そんな人々が、悩みを消し去り、幸福に生きてゆくための考え方・手法が書かれています。
本書では、悩み苦しむ「青年」が、アドラーの教えを解く「哲人」との対話の中で自分を見つめ、悩みを解決していきます。
物語で話が進んでいくため、ビジネス書初心者の方でも非常に読みやすい一冊となっています。
題名 | 嫌われる勇気ー自己啓発の源流「アドラー」の教え |
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著者 | 岸見一郎、古賀史健 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発行日 | 2013/12/12 |
ページ数 | 294ページ |
こんな人にオススメ
・人間関係の悩みから解放されたい方
・過去や未来にとらわれず、「今」に集中して生きていきたい方
・自分自身の価値を再認識したい方
著者紹介
岸見一郎
古賀史健
『嫌われる勇気』要約
【世界はどこまでもシンプルである】
世界は複雑だと思う方も多いはずです。
しかし、あなた自身が変われば、世界はシンプルに見えてきます。
対話の中で哲人はこんな言葉を述べます。
問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、なのです。
もしかしたら、あなた自身が世界を複雑にしてしまっているのかもしれません。
しかし、あなたの見方一つで、あなた自身の世界はいくらでも変えることができます。
「どうすれば人間は幸せに生きてゆくことができるのか?」という問いに対して、アドラー心理学はシンプルで具体的な答えを提示してくれます。
【トラウマは、存在しない】
アドラー心理学は、今の「目的」を考えるという「目的論」の上に成り立っています。
過去の出来事が原因で現在の状況に陥っているという、フロイト的な「原因論」と真っ向から対立する理論です。
哲人は、アドラーの主張を例に出します。
「経験」それ自体ではなく、「経験に与える意味」によって自らを決定する
つまり、過去のどんな経験も、そこに自分がどういう意味付けを施すかによって、今の在り方が変わってくるのです。
そのため、アドラーはトラウマを明確に否定しています。
自分の人生を決めているのは、過去の自分ではなく、今を生きる自分です。
だからこそ、過去にどんな出来事があっても、心配する必要はありません。
「今」にどんな意味付けを施すかによって、自分の人生も未来も変えることができるのですから。
【すべての悩みは「対人関係の悩み」である】
仮に、生まれながらに宇宙でただ一人で存在していれば、孤独を感じることもなく、悩むこともないでしょう。
しかし、実際我々の周りには何かしらの社会や共同体があります。
そこから疎外されていると感じるからこそ、孤独なのです。
我々は、孤独を感じるのにも他者を必要とします。
どんな悩みであれ、そこには必ず他者が介在しています。
同じく、「劣等感」を感じるためにも他者が必要になります。
他者という比較対象と自分を比べた時に、初めて劣等感を感じることができます。
人の悩みの大半はお金や仕事、恋愛ですが、それらには共通点があります。
それは「人が関わっている」という点です。
つまり、どんな悩みも結局のところ「対人関係の悩み」に行き着くのです。
様々な悩みから解放されるためには、この「対人関係」を改善することから始めるべきなのです。
【承認欲求を否定する】
「他者から承認されてこそ自分の価値を実感できる」と考える方も多いのではないでしょうか?
しかし、我々は他者の期待を満たすためだけに生きているわけではありません。
他者の評価ばかりを気にして生きることは、他者の人生を生きることに等しいのです。
多くの人は、他者からの承認を得る時に、「他者の期待を満たすこと」をその手段とします。
常に他者の顔色を伺い、自分にも周りにも嘘をつき続けることで、他者の期待を満たそうとします。
そのような人が自分らしく人生を歩んでいけるのでしょうか?
自分の人生を歩むためには、「自分の信じる最善の道を選ぶこと」が重要です。
他者に認められないかもしれないというコストを支払わない限り、自分らしく生きることはできません。
すなわち、「自由とは、他者から嫌われることである」
他者から嫌われることを怖れる必要はありません。
自分らしく生きていくためには「他者から認められたい」という承認欲求を否定することから始まります。
【自己肯定ではなく、自己受容】
「自己肯定」と「自己受容」には明確な違いがあります。
自己肯定とは、できもしないのに「自分はできる」と暗示をかけることです。
この考えは、自らに嘘をつく生き方に結びつく危険性を孕んでいます。
一方、自己受容とは「できない自分」を受け入れ、できるようになるために少しずつ進んでいくことです。
この自己受容こそ、自分らしく生きてゆくために重要な考え方なのです。
どんな人にも、自分が「変えられるもの」と「変えられないもの」があります。
それらを見極め、「変えられるもの」だけに力を注ぐことが重要になります。
自分に「何が与えられているのか」は変えられません。しかし、「与えられたものをどう使うか」は自分の力で変えてゆくことができます。
・ありのままの自分を受け入れること。
・変えられないことを受け入れること。
・変えられることは、変えてゆく勇気を持つこと。
これこそが自己受容です。
実践ポイント
嫌われることを怖れない
誰もが、「他者から嫌われたくない」という思いを持っているはずです。
しかし、他者の目ばかりを気にして、周りに合わせて生きていると、自分の人生を歩むことはできません。
全ての人に好かれる人間など誰一人として存在しません。
だからこそ、他者から嫌われることを怖れる必要はないのです。
もし、あなたが他者の目を気にするあまり、一歩踏み出せないことや我慢していることがあるなら、思い切って実行してしまうべきです。
「人生のタスク」と向き合う
人生のタスクとは、仕事や人間関係、愛のことを指します。
このタスクを達成するための「行動面の目標」と「心理面の目標」が存在します。
「行動面の目標」
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
「心理面の目標」
①私には能力がある、という意識を持つ
②人々は私の仲間である、という意識を持つ
これらの目標を常に意識することで、人生のタスクは格段と達成しやすくなるのです。
感想・書評・学んだこと
本書において特に、「承認欲求を否定する」という一文が刺さりました。
私自身、より多くの人に好かれようと八方美人な所もあり、そのせいで対人関係に疲れてしまうことも多々ありました。
どうすれば自分らしく、気楽に人と接することができるのかと考えていたところ、本書との出会いで考えが一変しました。
全ての人から好かれる人はいない。だからこそ、人に合わせて生きる必要もない。
つまり、「承認欲求は捨て去って良い」ということに気づくことができました。
また、仕事やお金、恋愛に悩みを抱える人はとても多いはずです。
ただ、これらの元を辿ると、全て人間関係に行き着くという事実に衝撃を受けました。
逆を言えば、人間関係の悩みさえ解決してしまえば、全ての悩みから解放されるのだという気づきを得ることができました。
本書との出会いで、自分の人生が今までより、もっと楽に、自由になった気がします。
最高の名言
われわれを苦しめる劣等感は「客観的な事実」ではなく「主観的な解釈」
劣等感は事実がどうであれ、自分の思い込みで発生するのです。
自分と他者を比較した時、「自分は劣っている」という主観の解釈が起こることによって劣等感は生み出されます。
他人との比較による劣等感は自分になんのメリットももたらしません。
しかし、理想の自分と、現在の自分を比較した時に生み出される劣等感は健全なものです。
「劣等感」と聞くと、聞こえはあまりよくありませんよね。
しかし、自身の捉え方次第ではそれがいいものにも悪いものにもなるのだという気づきを得ることができました。