内容紹介
本書では「気づかい」を次のように定義づけています。
気づかい=相手に対する愛情、思いやり、感謝の気持ちを行動にあらわすこと
ここでいう「行動」とは、例えば感謝の気持ちをことばにしたり、手紙やプレゼントを贈って気持ちを形にすることです。
本書では、「気づかい」を身につけるためのポイントを3つ挙げています。そして、その3つのポイントを押さえつつ、成功を収めてきた著者の目線から、「そもそも気づかいとは何か」から「実際のシーンでの気づかい」についてまで、細やかに綴られています。
「気づかい」の方法は、単なる礼儀作法や表面的なコミュニケーションのテクニックにとどまりません。著者が人生を通して感じたり、実践してきた「本物の気づかい」が具体的に紹介されています。
人に自分を好きになってもらい、「応援したい」と思ってもらう人になること。これがチャンスをつかむために唯一必要なことだと著者は言います。そのために必要なのが「ほんの少しの気づかい」です。
人に自分を好きになってもらいうこと、「応援したい」と思ってもらうえる人になること。
これがチャンスをつかむために唯一必要なことだと著者は言います。そのために必要なのがことは「ほんの少しの気づかい」です。
題名 | 本物の気づかい |
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著者 | 井上裕之 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
発行日 | 2020/12/18 |
ページ数 | 217ページ |
こんな人にオススメ
・今よりももっと輝きたい人
・「気づかい」を習慣にして身につけたい人
・人間関係を円滑にしていきたい人
著者紹介
著者
2003年、ニューヨーク大学CDEインプラントプログラムを日本人で初めて卒業。ニューヨーク大学インプラントプログラムリーダー。2006年、 理想的な病院を作るために経営学博士を取得。現在、医療法人社団いのうえ歯科医院理事長を努める。
世界の経営学や成功哲学を学んだ企業改善理論は医療業界にとどまることなく、一般の企業からも経営指南の依頼を受けている。
世界でただ一人のジョゼフ・マーフィー・インスティテュート公認グランドマスターの称号を授与され、「潜在意識」と「ミッション」をかけあわせた、独自の「ライフコンパス理論」をセミナーや著書で紹介し、数多くのクライアントを成功に導く。
『本物の気づかい』要約
・「気づかい」を身につける5つのメリット
気づかいが上手にできるようになると、5つのメリットがあると著者は言います。
(1)人から好かれる
(2)近道をして成長できる
(3)チャンスが増える
(4)人生で成功できる
(5)心ゆたかに生きられる
気が利かない性格だから、気づかいができないと悩まれる人がいると著者は言及しています。しかし、「気づかい」は習慣にすることで誰でも身につけられます。
・気づかいを習慣にする3ポイント
「気づかい」の習慣化とはどういうことなのでしょうか?
「気づかい」を身につけるためのポイントは3つあります。
1、自分がうれしいと感じることを相手にする
1つ目は、「自分がうれしいと感じること」を相手にすることです。
(略)「ほめられるとうれしい」のであれば相手をほめる。「待ち合わせに遅れないで来てくれることがうれしい」のであれば、時間に遅れない。「『ありがとう』と言ってもらえるとうれしい」のであれば、「ありがとう」と言う。答えは自分の中にあります。
自分がなにをうれしいと感じるかを洗い出し、そのまま行動してみることが大事です。
とはいえ、あなたにとってはうれしいことでも、相手がよろこんでくれるとは限らないことも現実としてあります。
2、相手の立場で、うれしいと感じてもらえることを考える
2つ目のポイントは、相手の立場になって「うれしいと感じてもらえること」を考えることだと著者は言っています。
普段から愛情をもって相手を観察していると「よろこびポイント」がわかってくるはずです。
何気ない会話の中から相手がよろこぶことをキャッチしてみるといいでしょう。わからなければ直接聞いてもいいのです。
3、周囲を観察し、人は何によろこびを感じるかを学ぶ
3つ目のポイントは、周囲を観察し「人は何によろこびを感じるか」を学んでいくことです。周囲を観察し、その真似をすることが「気づかい」が身につく一歩とします。
真似するといっても、最初はうまくできないことのほうが多いと思います。しかし小さなことを少しずつでもいいので、「続ける」ことを目標にして真似をしてみてください。すると、自分にあった方法も見つかり、あなたにしかできない気づかいが生まれるはずです。
誰にでもできることを継続することで、自然とできるようになります。
・なぜか好かれる気づかい
ビジネスにおいて、相手との必要以上の関わりを少なくしていこうという傾向のある現代では、気づかいの判断基準が難しくなっています。「余計なことだと思われるかもしれない」と、行動をためらってしまうこともあるでしょう。
しかし、いくら世の中やビジネスが変わっても、“人が何かをしてもらったり、何かをしたときにお返しがあること”を嬉しく感じることには変わりありません。
著者は気づかいの反対は手抜きであると考えています。
小さなことでもいいから、絶やさずに気づかいを続けてみることで、変化があることを次のようにも述べています。
「手を抜いた」と後から思いそうなことがあるならば、すべて行動に移します。ちょっとした手間はかかりますが、多くの時間とお金がかかることではありません。こうした小さな積み重ねが、将来大きな結果となって返ってくるはずです。
・ビジネスでもっとも大切な気づかい「お礼」
〈特別感のあるお礼の仕方3ポイント〉
ビジネス上でもっとも大切な気づかいは「すぐにお礼をする」ことです。お礼はスピードが命であり、早ければ早いほどいい印象を与えます。
どのような「お礼」がよいのでしょうか。
お礼メールで相手をよろこばせるポイントについて言及しています。
(1)事実に対する感想
(2)相手をほめたたえる内容
(3)得たものや学びになったこと
この3点があると、一般的なお礼メールから特別なお礼メールとなります。
言葉を伝えることは、コストのかかることではありません。
相手を思って言葉を使うことで、いくらでも相手によろこんでもらうことができるのです。
〈ついお礼が遅れてしまった時の対処法〉
すぐにお礼をしようとしたのに、気づいたら時間が経ってしまった。
そんな「お礼」が遅れてしまったとき、スピードに劣らないお礼をするにはどうすればよいのでしょうか。
答えは「手書きの手紙」であると筆者は言います。
その理由をこう述べています。
手書きの文章には心を込めて書いた温かみがにじみ出て、より思いが伝わるからです。だから、たとえ字が下手でも手書きがいいのです。
手書きで書く際のポイントやおすすめの筆記具についても教えてくれています。ボールペンよりも万年筆をの方が、字に思いが乗るのです。
また贈り物も合わせると印象に残り、よろこんでもらえると著者は言います。
・気づかいは〇〇がすべて?
「なぜか好かれる」気づかいの方法はたくさんあります。
共通しているのは、どんなカタチであれ、気づかいはタイミングがすべてということ。同じことでも、タイミングが良ければ、気づかいの効果が何倍にもなります。つまり、相手の感動の深さを変えられるということです。
何か相手にしてあげよう、と思ったときには、「自分が最高にうれしいタイミング」で相手にやってあげます。
自分だったらどう思うかを考えられるかどうか、相手への思いやりができるかがポイントということです。如何に、ちょっとした気づかいが「なぜか好かれる」コツなのです。
・人間関係がうまくいく気づかい
「つながっていたい」と感じる人との縁を切らないことは、人生に大きな影響をもたらします。そこで著者は、大切な人との縁をつなげるために、最低1年に一度は贈り物をすることをすすめています。
お中元やお歳暮でも、どこかへ行ったときのお土産を贈るのでもOK。高価なものである必要はなく、3000円程度で十分だといいます。
でも、なぜ贈り物なのでしょうか。
贈るほうは相手を思って送ります。贈られたほうは「あの人からきた」と思って受け取ります。贈り物を介してお互いを思い合うことで、つながりができるのです。 これが大事なのです。
心のこもっていないカタチだけの贈り物のやりとりなら不要です。しかし、心のこもっている贈り物であるなら話は別です。お中元やお歳暮も、おつきあいをしていきたい会社に贈るのであれば、心を込めて贈ったほうがいいと著者は言います。
事実、著者のまわりでは、ことあるごとに贈り物をしている人は仕事ができ、結果も出していると言います。
また、「つながっていたい」と思う人には、贈り物に加え、手紙やメールなどで1年に一度は連絡をとるようにし、可能なら、実際に会う約束をしてみるのもいいと言います。
大切なのは、継続して連絡を取ることです。継続は信頼につながります。「毎年、律儀に贈り物を送ってくれる」「連絡をくれる」そのこと自体が、信頼を貯金していることになります。
そうしてつながっていると、何かあったときに頼みごとがしやすくなる関係ができるということなのです。
お中元は手段であり、最も大切なのは贈り物を通して常日頃の感謝が相手に伝わり、心の繋がりができることなのです。
ビジネスにおいても同様であり、気に入られるには普段からの気づかいを心がけ、信頼されることが重要です。
・気づかいを身につけるにはまず「気づかいされる」
では、どうやって気づかいを身につけていけばいいのでしょうか。
営業は営業のプロから学ぶことと同じで、気づかいは気づかいのプロから学ぶこと、一流を身につけたければ、一流から学ぶことが大事なのです。
気づかいを学びたければ、気づかいされる側になってみること。例えば、飛行機に乗ったときの客室乗務員の対応、一流ホテルで働く人たちの身のこなしや言葉づかいです。学びは様々なところにあふれており、体感することが学びです。
成功を収めてきた著者が「気づかい」においても「一流」を目指し、「一流」であるために心がけていることは、自分よりも結果を出している人から学ぶことだと言います。
「この人のようになりたい」「この人は尊敬できる」というお手本となる人を見つけて、考え方を学び、真似をしていくのです。
人間関係が上手くいくためにも、まずは真似から、ということなのです。
・気づかいを習慣化する
気づかいは場所や相手を問わずに行うものです。ビジネスで成功したいのであれば、ビジネスシーンはもちろん、プライベートでも気づかいを心がけることが大切だと著者は言います。気づかいを繰り返し行うことで無意識にできるようになるからです。
日頃から守るべき約束を守って行動していれば、日常生活の中の約束も守れるようになります。
日頃の習慣がビジネスの場でも活かされるということです。
では、プライベートでどのような点を意識したら良いのでしょうか。
著者は、「親しいからこその気づかい、誰も見ていないからこその気づかい」について言及しています。
わかり合うためには、気くばりを欠かさないことです。
夫婦や恋人、友人関係でも同じです。確認をせずに、「相手はこう思うに違いない」という思い込みで行動することで、関係がこじれることもあります。
たとえ、お互いによくわかり合えているもの同士であったとしても、些細なことではありますが、丁寧に説明し合うことが大事です。相手と確かめ合うことが、親しいからこその大切な気づかいなのです。
誰も見ていないからこその気づかいにおいて大切なことは、
「相手の立場に立って考える」ことの習慣化です。
例として著者はトイレについて挙げています。
オフィスでも自宅でも、自分がトイレを使った後、次に使う人のためにきれいにしておく気づかいが大切です。誰も見ていないところで自然と気づかいができるようになれば、習慣化され、ビジネスの場面でも相手本位の気づかいができるようになるということです。
気づかいの幅を広げるためには、いろんな経験や学びを得て、自分の価値観を広げること事が大切だと言っています。「自分の価値観」だけではできない気づかいもあるからです。
気づかいを習慣化していくためにも、価値観を広げ、人としての豊かさを耕していくことが必要です。
気づかいはするのも、されるのも「人」。
お互いのために、本物の気づかいをできる人になることを目指しましょう。
実践ポイント
コロナ禍でビジネスでの接待や関わりが少なくなっている現代において、気づかいの判断基準が難しくなっています。「余計なことになるなら何もしないほうがいいかも」と思ってしまうシーンが少なくないのが現状です。
どんなにコロナ禍でビジネスの場が希薄化したとしても、してもらったことにお返しがあったり、何かをしてもらえば人々はよろこびを感じます。世の中が変わったとしても、人の心が変わることはありません。
大事なことは「小さな気づかい」です。
たとえば、
・贈り物をするプレゼントは、実際に手に取り、どんなものか確認してから送る
・仕事がつまっている同僚に、缶コーヒーの差し入れする
・上司が確認する資料に、付せんでひと言添える
・誰よりも早く誕生日のメッセージを送る
・些細なことでも「ありがとう」を欠かさず伝える
誰にでもできることですが、これができるかどうかで、今後の人生が変わってきます。
日頃から意識することによって、人間関係も変化し、自分にしかできない価値も生み出せすようになるのです。
まずは、「相手に喜んでほしい」という気持ちを「行動」で示していくならどんなことができるのか考えてみてください。
「相手の立場に立って考える」ことを習慣にすると、どんな行動をするといいのかが見えてくるでしょう。
「気づかい」だけで人生が変わることを、ぜひ、実感してみてください。
感想・書評・学んだこと
とにかく気遣いが苦手。
よくある「相手を思って」とか、「相手の立場に立って」はわかるけれど、いざ自分が立場に立つとうんざりしてしまう、という人も少なくないかもしれません。
かくいう私も、実は「気づかい」に対して、斜に構えてしまっていたところがあり、少し前まで「気づかい」はネガティブな印象が強く、その場を取り繕うような行動をしていました。
しかし、「気づかい」はスキルであり、鎖のように繋がり人間関係や人生をも変えていくものだと知りました。一つの相手を思った行動の積み重ねが、変化に影響を与えていることを身をもって体験しました。
ここ1~2年で働き方が変わり、現在社長さんとパートナーを組んでお仕事をさせていただいております。周りには視座の高い方、多くの経験を積んでいる方が増えました。
関わり始め、私は“あること”に気づきます。
それぞれ経営の仕方は違えど、必ず共通することがあったのです。
それは「気づかい」「気配り」ができるということでした。
仕事からプライベートまで、こんなこともできるのか、と思うくらい細かなところまで目線を配らせているのです。
まさに“一流”でした。
あたり前に、普段から習慣にしているからこその行動なんだと気づきました。
〝一流〟に触れるからこそ、気づくことができ、価値を知ることができます。
身近で体感したことで、私自身は「気づかい」の奥深さと、人間関係を更により良いものにするための鍵だと感じました。
そして自分自身の人生を変えていくチャンスと確信しました。
まずは小さなことから始めてみてください。
新しい発見や新しい人間関係に出会えるはずです。
最高の名言
気づかいには能力や才能は関係ありません。ただ、あなたの中にある「人に対するやさしさや思いやり」をもっと表に出してみてください。そうすれば、誰でも自然と「気づかい上手」になれます
誰でもできるようになると著者は言います。
できない、苦手だと思っていたのは「自分自身」です。
自分の可能性を信じて、何かひとつでも小さな行動を起こしてみませんか?